【公開日:2024.08.20】【最終更新日:2024.06.07】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22KT1151
利用課題名 / Title
様々な材質での超伝導検出器の製作
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials
キーワード / Keywords
超伝導,アルミニウム,MKID,リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,スパッタリング/Sputtering,超伝導/ Superconductivity
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
末野 慶徳
所属名 / Affiliation
京都大学 大学院理学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
鈴木惇也,武市宗一郎
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
江崎裕子,諫早信明
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KT-103:レーザー直接描画装置
KT-110:レジスト現像装置
KT-111:ウエハスピン洗浄装置
KT-209:磁気中性線放電ドライエッチング装置
KT-202:多元スパッタ装置(仕様B)
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究は最先端の超伝導検出器MKIDとして用いることができる材質の幅を広げ・高性能なMKIDを製作することが目的である。MKIDとして一般的な材質であるアルミニウムによる製作に成功したため、次の材質としてタンタルによるMKIDの製作に取り組んだ。タンタルは蒸着のプロセスによってα-Ta, β-Taの二種類に分かれる。これらは超伝導転移温度が異なり、超伝導転移温度の低いβ-Taはアルミニウムよりも転移温度が低く、感度のある光の波長領域を広げることが期待される。そのためβ-Taでの製作に向けてその蒸着のプロセス・評価手法の開発を行った。
実験 / Experimental
タンタルの蒸着には多元スパッタ装置(KT-202)を用いた。4インチのシリコンウエハに100nmの薄さで蒸着を行った。蒸着の際には基盤に加熱は行わず、β-Taの蒸着が期待される条件で成膜をした。以下の装置を利用して製作したタンタル薄膜の評価を行った。触針式段差計(KT-332)を用いた膜厚を測定。X線回折装置(KT-310)を用いたθ/2θ法をから薄膜のピークを測定。接触式シート抵抗測定器(KT-331)を用いて薄膜表面全体で測定し、抵抗率とその面分布を測定。
結果と考察 / Results and Discussion
図1に触診段差計での膜厚測定の結果を載せた。100nmの膜厚の設計を概ね達成できた。また、成膜レートがわかっていない状況だったが、今回の結果をもとに成膜レートを得ることができ、今後の成膜を設計通りに行うことができる。
図2にX線回折装置での測定結果を載せた。β-Taに期待される33degのピークを確認することができた。これは、成膜したタンタルがα-Taではなくβ-Taであることを示唆している。
図3に抵抗率測定の測定結果を載せた。100nmのβ-Taでは200[μohm cm]が期待されるが測定結果は154[μohm cm]となった。しかし、膜厚は図1からもわかるように100nmより大きい可能性があり、その場合期待される抵抗率は小さい値となるため、測定結果を再現しこの結果も成膜されたタンタルがβ-Taであることを示唆している。上記の評価からβ-Taを成膜するための条件、および評価手法の開発を行うことができた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1. タンタル膜厚の測定結果。ラベルは測定場所によるもの。概ね100nmの厚みで製作できていることを確認した。
図2. θ/2θ法による測定結果。β-Taで期待される33degのピークが確認された
図3. 抵抗率の面内分布。面内では2%程度のばらつきがあることがわかった
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 鈴木惇也 他,「宇宙素粒子実験のための超伝導検出機MKIDのノイズ削減に向けた試作と評価」,日本物理学会2022年秋季大会, 岡山理科大学, 2022/09/08
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件