【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22KT1293
利用課題名 / Title
固体中におけるスピン流輸送現象の解明
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
スピントロニクス,反強磁性薄膜,X線回折/X-ray diffraction,スパッタリング/Sputtering,スピントロニクス/ Spintronics,3D積層技術/ 3D lamination technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
白石 誠司
所属名 / Affiliation
京都大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KT-202:多元スパッタ装置(仕様B)
KT-310:X線回折装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
近年,Beyond CMOSを実現する技術としてスピントロニクスが注目されている.スピントロニクスでは,エレクトロニクスにおいて注目されてきた電子の持つ「電荷」の自由度に加えて,「スピン」の自由度に注目することによって,新奇機能の実現を目指している.このスピントロニクスを利用したデバイスとして,スピン金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(スピンMOSFET)[1]がある.スピンMOSFETは従来のMOSFETのソース・ドレイン電極を強磁性体に置き換えることによってスピンバルブとしての機能を付与したものである.それにより,ゲート電圧によるON / OFF制御に加えて,強磁性体電極の相対磁化配置によって出力を制御することができ,不揮発性メモリや少ない素子数での再構成可能論理回路の構成などが期待されている.しかし,SiをチャネルとしたスピンMOSFETはスピン依存抵抗変化を寄生抵抗で割った磁気抵抗比が1 %程度と小さいという問題がある[2].そこで,我々の研究グループでは,磁気抵抗比向上のために,高いスピン偏極率を示すことが期待されているホイスラー合金Co2FeSi(以下CFSと称する)を電極強磁性体材料として用いたデバイスの作製を試みた.CFSは,L21構造を持つ場合にスピン偏極率が100 %となることが第一原理計算から示されているが,A2構造やB2構造といった結晶格子内の原子配置の規則性が悪い場合,スピン偏極率は低下してしまう[3].そこで,成膜したCFS結晶の原子配置の規則性について評価するために,京都大学ナノテクノロジーハブ拠点のX線回折(XRD)装置を用いて測定を行った.
実験 / Experimental
SOI基板に対し,HFによる表面処理後,分子線エピタキシー法を用いてMgOトンネル絶縁層(0.8 nm),Feバッファー層(1 nm),CFS強磁性層(12 nm),Au酸化保護キャッピング層(3 nm)を成長させる.なお,CFSはCo2FeターゲットとSiターゲットの共蒸着によって成膜した.また,成膜後に結晶性向上のために350 ℃ 10分の真空熱処理を行った.その後,X線回折装置を用いてCu Kα X線源による室温でのθ-2θスキャンを行い,CFSの結晶性について評価した.
結果と考察 / Results and Discussion
Fig 1.にθ-2θスキャンの結果を示す.Au (111),CFS (220)又はAu (200),Si (400),CFS (422)又はAu (222)に起因するピークが確認できた.このCFS (220),CFS (422)はA2構造に起因するものである.B2構造を示す場合,これらに加えてCFS (200),(222)のピークが現れ,L21構造を示す場合,更にCFS (111)のピークが現れるが,それらのピークは検出されなかった.この結果は,成膜されたCFS薄膜の結晶規則性が悪く,A2構造が支配的となっていることを示唆している.今後は,成膜条件を最適化し,CFSの結晶規則性向上を目指す.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig 1. XRD patterns of the θ-2θ scan for CFS films.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・参考文献
[1]
S. Sugahara and M. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 84, 2307 (2004).
[2]
H. Koike et al., Appl. Phys. Express 13, 083002 (2020).
[3]
S. Wurmehl et al., Phys. Rev. B 72, 184434 (2005).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件