利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KT1256

利用課題名 / Title

ナノアンテナ蛍光体の高性能化

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

指向性光源,光吸収,リソグラフィ/Lithography,EB,3D積層技術/ 3D lamination technology


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

村井 俊介

所属名 / Affiliation

京都大学 大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

愛知広樹

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

海津利行

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-115:大面積超高速電子ビーム描画装置
KT-203:電子線蒸着装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

我々は次世代の指向性光源開発に向けて、発光に指向性を与えるナノアンテナの研究を行っています。これまでに金属アルミニウムからなるナノアンテナと蛍光体を用い、蛍光強度の増大と指向性の付与に成功しています[1]。しかし、アルミニウムが光を吸収するため、使用中に蛍光体の温度が上昇し効率が落ちてしまいました。これは特に高輝度の照明応用の大きなネックとなります。本研究ではアルミニウムに替えて光吸収の少ない二酸化チタンからなるナノアンテナを作製し、効率を落とすことなく顕著な指向性蛍光を得ることに成功しました[2]。この成果を照明に利用することで、照明をより明るく省エネ化できます。今後の研究により、更なる指向性蛍光の増強を目指します。

実験 / Experimental

本研究では、金属アルミニウムに替わる材料として高屈折率かつ低光吸収材料である二酸化チタンを選択しました。手始めに金属アルミニウムナノ粒子と同じ大きさのナノ粒子を同じ周期で並べたナノアンテナ蛍光体を試作しましたが、光吸収は抑えられたものの、全く蛍光の指向性が得られませんでした。これは二酸化チタンナノ粒子の光散乱強度がアルミニウムナノ粒子に比べ劣ることに起因します。そこで計算機シミュレーションを援用し最適構造を探り、周期およびサイズともアルミニウムに比べ一回り大きなナノアンテナを設計・作製しました。

結果と考察 / Results and Discussion

アルミニウムに迫る高い蛍光指向性と低吸収が両立するナノアンテナ蛍光体を作製することに成功しました。正面方向への蛍光強度はアンテナがない蛍光基板の10倍に迫る値に達し、また青色レーザ光から黄色蛍光への変換効率は蛍光基板と変わりませんでした。
本課題の研究成果の概念イメージをFig.1に示します。蛍光板の上にナノアンテナを作製したナノアンテナ蛍光体に青色光を照射すると、蛍光体が青色を吸収して黄色に光り、吸収されなかった青色と黄色の混色により白色が得られます。黄色光がナノアンテナ作用を受け前方方向へ指向性を持ち放出され、青色レーザ光と混色し指向性白色が得られます。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1:蛍光板の上にナノアンテナを作製したナノアンテナ蛍光体に青色光を照射すると、蛍光体が青色を吸収して黄色に光り、吸収されなかった青色と黄色の混色により白色が得られます。黄色光がナノアンテナ作用を受け前方方向へ指向性を持ち放出され、青色レーザ光と混色し指向性白色が得られます


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献:[1] R. Kamakura et al., J. Appl. Phys. 124, 213105, 2018, [2] S. Murai et al.J. Mater. Chem C., 2022, 1902024 


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Shunsuke Murai, Photoluminescence engineering with nanoantenna phosphors, Journal of Materials Chemistry C, 11, 472-479(2023).
    DOI: doi.org/10.1039/d2tc03076d
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. (1) 村井俊介,第70回応用物理学会春季学術講演会(2023年3月15~18日@上智大学)8. シンポジウムT2「ミートロニクス~誘電体ミー共振器の物理と応用」局在共鳴と光回折の協奏現象~表面格子共鳴、Kerker効果、BICs~
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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