利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KT1105

利用課題名 / Title

シールを利用した積層ナノアンテナの作製と発光制御

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

ナノアンテナ,ガラス基板,リソグラフィ/Lithography,ナノ粒子/ Nanoparticles


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

村井 俊介

所属名 / Affiliation

京都大学 大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

吉武 優

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-115:大面積超高速電子ビーム描画装置
KT-203:電子線蒸着装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

金属もしくは高屈折率の誘電体のナノ粒子が光の波長程度の周期で配列した構造を持つナノアンテナは、光を照射すると、個々のナノ粒子の共鳴が面内方向の光回折により放射結合し、特定の光を強く散乱(あるいは吸収)する特徴を持つ。発光層とナノアンテナを組み合わせることで得られる発光の増大と指向性は、発光層を二層のナノアンテナで挟むとそれぞれの層を掛け合わせた効果が得られると期待される。しかし、ナノアンテナの積層構造は作製難易度が高く、実験的な検討は限られてきた。そこで本研究では、ナノアンテナシールを用いることで積層ナノアンテナを作製し、吸収と発光波長それぞれに対し2枚のナノアンテナを最適化することで、発光増強の最大化を目指した。

実験 / Experimental

まず、シリカガラス基板上にリフトオフ法によりTiナノ粒子の正方格子ナノアンテナを作製し、熱処理によりTiO2として、青色光に共鳴するナノアンテナを作製した。そこに発光物質として、青色光を吸収し赤色を放つ色素 (Lumogen F305) を分散させた発光層を塗布した。その上に赤色光に共鳴するAlナノ粒子周期アレイのアンテナシールを密着させ積層ナノアンテナを作製した。その後、試料に対し透過率の角度依存性及び青色レーザー光入射時の発光増強分布の比較を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

TiO2ナノアンテナの周期、発光層の膜厚および色素濃度を変化させ、青色光に共鳴するナノアンテナを最適化した結果、発光層の膜厚が40 nmのもので大きな発光増強が得られ、その上にシールを貼付した積層試料において、最大16.9倍程度の発光増強が得られた。しかし、この発光増強度は二層の掛け合わせで想定される値よりも小さかった。次に、発光層の膜厚を厚くして同様の実験を行ったところ、Alのシールを用いた積層試料において、二層の掛け合わせに近い発光増強が得られた(Fig.1, 2)。これは、シールの三つの回折線が交わる0°付近の波長が色素の発光波長に近く、強い光取り出しの効果が得られたためだと考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Emission angle dependence of photoluminescence (PL) enhancement, i.e., emission intensity normalized by that from the luminescent layer on flat SiO2 substrate, of the luminescent layer sandwiched between the Al sticker and the TiO2 array at the angle of incidence of blue laser being 13.9 °. The dotted lines denote the diffraction conditions.



Fig. 2 PL enhancement under the irradiation with the blue laser at 13.9°. Red, blue and black lines denote the values obtained from the emission layers coupled to Al sticker, TiO2 array and sandwiched between them, respectively. The respective emission angles are 7, 0 and -1°. The value of the green line shows the value of the red line multiplied by the value of the black line.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. (1) シールを利用した積層ナノアンテナの作製と発光制御 ○吉武優、村井俊介、田中勝久、第63回ガラスおよびフォトニクス材料討論会(2022年12月6/7日@東京たま未来メッセ(東京都八王寺市)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る