利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.04.28】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KT1073

利用課題名 / Title

テラヘルツの分光技術を応用した生物・食品検査利用への研究

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

分析,結晶性,デンプン,X線回折/X-ray diffraction


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

小川 雄一

所属名 / Affiliation

京都大学大学院農学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

Guo Han

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

高橋英樹

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-310:X線回折装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

消化性はデンプンの結晶性と関係があることが知られていることから,X線回折でのデータを収集しつつ,その結果と各種分光法による吸収スペクトルの変化を調査すると共に,籾の前処理がデンプンの構造や消化性に与える影響を探索する研究を行っている。今回,X線回折とTHz分光のスペクトルとの比較において,処理の異なるデンプンの違いを調査するための事前実験を行った。さらに,デンプンは脂肪酸との複合体を形成することが知られていることから,脂肪酸との結合に伴う影響がXRDにどのような影響を与えるのかを確認した。

実験 / Experimental

コメ由来のデンプンに対して,以下の浸水加熱処理を行った。予め含水量を変化させたデンプン粉末(20%と40%)を用意し,一晩4℃で静置した後,110℃で8時間加熱させた。その後,50℃で一晩加熱して余分な水分を取り除き,106 µmの篩で粒径を整えたものをX線回折およびテラヘルツ分光でスペクトル測定を行った。追加実験として,デンプンを糊化した後、さまざまな濃度でラウリン酸との複合体を形成した。 錯化プロセスは、10分間連続的に攪拌しながら70℃で行われた。デンプン構造は,先行研究にならってX線回折装置(SmartLabp9K,株式会社リガク)により回折パターンをから評価した。測定条件は,管電流200 mA, 管電圧45 kV,計数時間30秒,測定範囲2θ=4-40°,分解能を0.05°とした。

結果と考察 / Results and Discussion

THzスペクトルと,XRDの結果を比較すると,9.0,10.5,12.1,13.1 THz のピークは2θ=23° の XRD ピークの間に高い相関が見られた。また,XRDの結果より,今回の異なる水分量は結晶化度に影響を与えず,その結果はTHzスペクトルと同じ傾向を示した。より詳細な水分条件を変えた実験を今後実施するための検討をつける事ができた。ラウリン酸との複合体においては, 7.5°、13°、19.5°付近に Vh 型デンプン構造 (アミロース脂肪酸複合体) に起因する 3 つのピークが得られた。 解析の結果、3 つのサンプルの結晶化度はそれぞれ 15.1%、16.1%、および 17.05% と見積もられた。この結果は、アミロース-脂肪酸複合体の結晶構造がラウリン酸濃度とともに増加したことを示唆している。 なお,ラウリン酸由来の XRD スペクトルによると、4 つのピークが 6.4°,9.65°,21.45°,および 23.8° に見られ,ラウリン酸単体のピークとの比較から,複合体の内部には脂肪酸の結晶が形成されていないことを確認できた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 HMT処理のコメデンプンの二次微分スペクトル



図2 ベースライン補正後のXRDスペクトル


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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