【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.28】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22KT1053
利用課題名 / Title
熱処理による金ナノロッドの光学特性変化
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
周期配列,局在プラズモン共鳴,リソグラフィ/Lithography,蒸着・成膜/Evaporation and Deposition,EB,3D積層技術/ 3D lamination technology,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
村井 俊介
所属名 / Affiliation
京都大学 大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
榎本泰輔
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
岸村眞治
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KT-115:大面積超高速電子ビーム描画装置
KT-203:電子線蒸着装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
金属ナノ粒子に光が入射すると自由電子の集団振動が励起される。それにより生じた電気的な分極によって、金属粒子表面に局在する強い電場が誘起される。この一連の現象は局在表面プラズモン共鳴(LSPR)として知られている。さらに金属ナノ粒子を波長程度の間隔で周期配列すると、個々のLSPRが光回折を介し放射結合した、表面格子共鳴(SLR)が励起できる。SLRはLSPRと比べ線幅が狭く周期による共鳴波長制御が出来、様々な応用研究がなされている。金ナノ粒子が熱処理により変形し、LSPR挙動が変化することはよく研究されている。他方金ナノ粒子アレイの熱処理によるLSPRやSLRの挙動制御は応用上重要であるが研究例は少ない。 本研究では、熱処理による大きな形状・光学特性変化が期待される金ナノロッドからなる周期アレイ構造を対象に、熱処理による形状および消光応答の変化を調べた。
実験 / Experimental
SiO2基板上に電子線描画とリフトオフにより金ナノロッドアレイを作製した。熱処理には高速熱処理装置(RTA)を用い、N2雰囲気下で3分間の処理を行った。熱処理温度は400~800 ℃の間で100 ℃ごと昇温して行った。得られた試料に対し走査電子顕微鏡(SEM)および原子間力顕微鏡(AFM)を用い、形状の観察を行った。Figure1.に、(a)600℃,(b)700℃,(c)800℃の各熱処理温度後のSEM像、(d)熱処理温度800℃後に分裂したロッドのSEM像を示す。アレイにポリメタクリル酸メチル薄膜をスピンコート後、回転ステージを用いSiO2基板に対する消光強度(=1-透過率)の入射角度依存性を測定した。測定は、ロッドの短軸に平行(TM偏光)と垂直(TE偏光)な成分に対しそれぞれ行った。
結果と考察 / Results and Discussion
熱処理によるロッド表面の凹凸の減少と平滑化がみられた。構造が緻密化し、隙間が埋まったためと考えられる。また形状は、ロッド長軸が短く、短軸と高さが長くなり半球状になると予想したが、実際には700 ℃以上の熱処理で、半球状になる傾向と二つに分裂する傾向の両者がみられた。この傾向はより高温での熱処理を行うことで顕著に現れると考えられる。 消光測定では、TM偏光は短軸長が長くなるのに伴うLSPRの長波長シフトがみられた。一方でTE偏光では、長軸長が短くなったことに伴うLSPRの短波長シフトに加え、800 ℃での熱処理後、近赤外域にピークを持つ電気双極子のモードが可視光域にシフトしたため、回折との結合が強まり0.5程度の高い消光強度を得た。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Figure1. SEM images of arrays heat-treated at (a) 600, (b) 700, and (c) 800°C. (d) SEM image of the rods completely separated after heat treatment at 800°C.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件