利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.23】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22TT0013

利用課題名 / Title

Gd-Fe磁性細線における磁壁ビットシフト動作の観察

利用した実施機関 / Support Institute

豊田工業大学 / Toyota Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

光学顕微鏡/Optical microscopy,スピントロニクスデバイス/ Spintronics device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

黒川 雄一郎

所属名 / Affiliation

九州大学大学院システム情報科学研究院

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TT-021:偏光顕微鏡(青色レーザー照射可能)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

磁性細線中の磁区を情報担体とし、その磁区を電流により搬送するレーストラックメモリが次世代のメモリとして注目されている。レーストラックメモリ中の電流による磁区の移動は広く研究されている一方で、データ保存の為、磁区をとどめておく技術についてはあまり研究されてこなかった。この研究では磁性細線にノッチ構造を作製し、磁区と磁区の境目である磁壁をピン止めすることで、磁区を安定に制御することを考えた。本研究ではその動作の観察を行った。

実験 / Experimental

利用者が所属する研究室のスパッタリング装置を用いて、希土類磁性金属Gd-Fe膜を作製した。ノッチ構造を有する磁性細線を作製するために、利用者が所属する大学の電子ビームリソグラフィ装置を用いて、ノッチ構造を有するGd-Fe磁性細線をリフトオフ法により作製した。細線へ加工した試料を偏光顕微鏡を用いて磁区像を観察した。その後、試料にパルス電流を印加することで、ノッチ構造での磁壁の動きを観察した。

結果と考察 / Results and Discussion

ノッチ構造を有する磁性細線を用いて、偏光顕微鏡による観察を行った。ノッチ構造を有する磁性細線の模式図を図1に示す。まず、作製した試料のホール効果を測定したところ、試料は明確に垂直磁気異方性を持っていることが分かった。次に偏光顕微鏡を用いて電流による磁壁移動を観察した。しかしながら、磁性細線にパルス電流を印加しても磁壁はうまく動かなかった。この結果を元に、有限要素法を用いてノッチ構造を有する磁性細線上に電流から生じる磁場を求めたところ、図1に示すようにノッチ部分に垂直方向の磁場が生じることが分かった。これは、図1に示すようにノッチ部分の周囲で電流ベクトルが環状となり、大きな磁場が生じたのだと考えられる。したがって、この磁場が電流から生じる磁壁を駆動するトルクと競合し、磁壁がうまく動かなかったのだと考えられた。この結果から、単純なノッチ構造では磁壁のコントロールが難しくなることが示された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 ノッチ構造を有する細線とその電流印可時の模式図


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・共同研究者:粟野博之教授(豊田工業大学)、田辺賢士准教授(豊田工業大学)装置の使用にあたり、豊田工業大学 情報記録工学研究室 粟野博之教授、田辺賢士准教授、鷲見聡研究員のお世話になったことをここにお礼申し上げます。またこの研究は、科研費No. 21K14487 (2021-2023)の支援もうけておこなわれたものです。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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