利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22TT0010

利用課題名 / Title

磁気光学効果を利用した新規デバイス開発

利用した実施機関 / Support Institute

豊田工業大学 / Toyota Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

磁気光学デバイス


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

石橋 隆幸

所属名 / Affiliation

長岡技術科学大学大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

粟野博之

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TT-022:磁気光学効果測定装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ディープニューラルネットワークは、画像認識や音声認識など様々な分野で応用されているが、処理速度や消費電力が増大する問題が生じている。この問題を解決するために、高速かつ低消費電力な物理デバイスが期待されている。我々は、光を使った物理デバイスとして磁気光学(MO)効果を利用した光回折型ニューラルネットワーク(MO-D2NN)を提案した[1]。本研究では、可視光で高速に動作するMO-D2NNの実現を目的とする。

実験 / Experimental

本研究では、二層の隠れ層を有するMO-D2NNの試作を行った。隠れ層の材料として大きなMO効果と垂直磁気異方性を示すNd0.5Bi2.5Fe4GaO12薄膜[2]を選択した。Gd3Ga5O12基板の両面に有機金属分解法を用いて膜を形成することで、層間距離が固定された二層の隠れ層とした。二層の薄膜それぞれに光磁気記録技術を用いて磁区パターンを記録した。試料の磁化方向を一様に揃えた後、磁化と反対方向に補助磁場を印加しながら50倍の対物レンズで集光したレーザーを照射し、直径1 µmの磁区を形成した。試料はX-Yステージで走査し、100×100 µm2の磁区パターンを記録した。隠れ層の磁区パターンは偏光カメラ(Baumer, VCXU-50MP)を使った顕微鏡で観察し、理想のパターンと比較を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig. 1に計算により求めた磁区パターンと実際に今回記録した磁区パターンの磁気光学像を示す。計算結果で得られた磁区パターンは複雑なパターンとなっているのがわかる。これに対して、実験で記録した場合も、ほぼ同じ形状の磁区パターンを形成することができていることがわかる。このことから、有機金属分解法で作製したNd0.5Bi2.5Fe4GaO12薄膜に1µmの磁区を100×100だけ配列させた磁区パターンを形成することが可能であることがわかった。さらに、2層構造の隠れ層を用いて、手書き文字の認識の実験を行った結果、20%程度の正解率を得ることができた。今後は、磁区書込精度を向上させることで、計算精度を向上させることが可能であると考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Ideal image and measured MO image of magnetic domain pattern of the hidden layer.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・共同研究者:粟野博之(豊田工業大学)
・参考文献:[1] T. Fujita et al., Optical Express 30, 36889 (2022). [2]     M. Sasaki et al., Jpn. J. Appl. Phys. 55, 055501 (2016).


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Takumi Fujita, Magneto-optical diffractive deep neural network, Optics Express, 30, 36889(2022).
    DOI: https://doi.org/10.1364/OE.470513
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. (1) 坂口 穂貴1、藤田 拓実1、張 健1、鷲見 聡2、粟野 博之2、野中 尋史3、石橋 隆幸1 (1.長岡技科大、2.豊田工大、3.愛知工大)、磁気光学回折型ディープニューラルネットワークの作製技術の開発、[18p-A410-7]、第70回応用物理学会春季学術講演会、2023年3月15〜18日、上智大学
  2. 藤田 拓実1、坂口 穂貴1、張 健1、野中 尋史2、鷲見 聡3、粟野 博之3、石橋 隆幸1(1長岡技科大、2愛知工大、3豊田工大)、磁気光学効果を利用した光回折型ディープニューラルネットワーク、23a-M206-2、2022年9月23日(金) 09:30 〜 09:45、第83回応用物理学会秋季学術講演会、東北大学
  3. 坂口 穂貴1、藤田 拓実1、張 健1、鷲見 聡2、粟野 博之2、野中 尋史3、石橋 隆幸1 (1長岡技科大、2豊田工大、3愛知工大)、磁気光学効果を利用した光回折型ディープニューラルネットワークの物理実装に向けた隠れ層の作製と評価、23a-M206-3、2022年9月23日(金) 09:45 〜 10:00、第83回応用物理学会秋季学術講演会、東北大学
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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