利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KU0021

利用課題名 / Title

ナノサイズ電子デバイスの電気特性と微細構造に関する研究

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/Electron microscopy,イオンミリング/Ion milling,集束イオンビーム/Focused ion beam,ナノエレクトロニクスデバイス/ Nanoelectronics device,量子効果/ Quantum effect


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

有田 正志

所属名 / Affiliation

北海道大学大学院情報科学研究院情報エレクトロニクス部門

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

福地 厚,久保 玲央,瘧師 貴幸,椿 啓司

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

工藤昌輝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-002:収差補正走査/透過電子顕微鏡
KU-005:デュアルビームFIB-SEM加工装置
KU-006:直交型FIB-SEM
KU-015:コーティング装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

次世代情報システムの高効率化を目指して、種々の新規電子デバイス、ハードウェア実装の研究がなされている。本研究は、これらのデバイスの中で抵抗変化メモリ(ReRAM),単電子デバイス(SED)に注目し,デバイス内部微細構造と電気特性の相関を明らかにしようとするものである.ARIM利用において、主には作製したデバイスの内部微細構造の観察・解析を行った。

実験 / Experimental

デュアルビームFIB試料作製装置,直交型FIB-SEMによる電子顕微鏡観察試料作製,必要に応じてコーティング装置群による仕上げを行った後、収差補正走査/透過電子顕微鏡による構造観察、元素分析を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

本研究のサブテーマは、(Sub1) ReRAMデバイスの簡易作製手法開発、(Sub2) ReRAMデバイスの構造評価、(Sub3) SEDの微細構造と特性の相関である。ここでは(Sub1)に話を絞り、その概要を説明する。 ReRAMの応用においてデバイス間の特性バラツキが問題となっている。その際、膜質など本来持つ要因とデバイスの出来による要因を切り分ける必要があり、そのためにはテーパーエッジを有するコンタクトホールの利用が望ましい(Fig.1(a))。一般には層間絶縁層(ここではAl2O3)のドライプロセスが用いられるが、大学の研究室レベルでの実施を考えた場合、より簡便な手法が望まれる。ここでは二層レジスト法とリフトオフに注目し(Fig.1(b))、作製したコンタクトホール形状の評価を行った。 電子ビーム蒸着により層間絶縁層を形成したデバイスのSEM像をFig.1(c)に、その断面STEM像をFig.1(d)に示す。良好なテーパーエッジを有するコンタクトホールの形成されており、平滑なTa2O5層(ReRAMスイッチ層)を確認できる。このことはエッジ先端部のX線マップからも認識できる。以上のことから、二層レジスト法、電子ビーム蒸着、リフトオフ法の組み合わせにより、良好なコンタクトホールエッジを有する層間絶縁層の形成が可能であるということが分かった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 (a) テーパーエッジ付ReRAMデバイスの断面模式図、(b)コンタクトホール用二層レジストパターン、(c) 作製デバイスの平面SEM像、(d) 断面STEM像、(e) コンタクトホールエッジ部のX線マップ。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

FIB加工,TEM観察に多大な寄与のあった工藤昌輝氏(九大)に感謝する。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Takayuki Gyakushi, Double gate operation of metal nanodot array based single electron device, Scientific Reports, 12, (2022).
    DOI: 10.1038/s41598-022-15734-1
  2. Takayuki Gyakushi, Coulomb Blockade Oscillations Oberved in Micrometer-sized Single-Electron Device of Metal Nanodot Array, 2022 IEEE Silicon Nanoelectronics Workshop (SNW), , 1-2(2022).
    DOI: 10.1109/SNW56633.2022.9889054
  3. Atsushi Tsurumaki-Fukuchi, Direct Imaging of Ion Migration in Amorphous Oxide Electronic Synapses with Intrinsic Analog Switching Characteristics, ACS Applied Materials & Interfaces, 15, 16842-16852(2023).
    DOI: 10.1021/acsami.2c21568
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 有田 正志,福地 厚,高橋 庸夫,村岡俊作,河合賢,伊藤理,米田慎一: 40nm CMOSプロセスによるTa-O系ReRAMアレイ中に形成されたナノフィラメントの解析、第86回半導体・集積回路技術シンポジウム、#14 (oral) (online, 2022.08.31)
  2. 森 雄司, 福地 厚, 有田 正志:サンプルマウント脱着型電流測定 TEM ホルダーの開発, 令和4年度公益社団法人日本顕微鏡学会 北海道支部学術講演会, #P7 (poster) (@北海道大学,札幌,2022.11.19)
  3. 久保 玲央, 福地 厚, 有田 正志:テーパーエッジを有するコンタクトホールの2層リフトオフ法による作製と評価,第58回応用物理学会北海道支部/第19回日本光学会北海道支部合同学術講演会,#B-II-5 (oral) (@室蘭工業大学,室蘭,2023.01.05)
  4. A. Tsurumaki-Fukuchi, T. Katase, H. Ohta, M. Arita, Y. Takahashi, Atomic scale characterization of the memory mechanisms of amorphous TaOx-based electronic synapses, 14th International Symposium on Atomic Level Characterizations for New Materials and Devices ’22 (ALC ’22), #19p-3-8 (oral) (@Bankoku Shinryokan, Nago, Okinawa, 2022.10.19)
  5. 福地 厚, 片瀬 貴義, 太田 裕道, 有田 正志, 高橋庸夫:アモルファスTaOxが示す抵抗変化現象の確率過程性に対する相構造の影響の観測,第83回応用物理学会秋季学術講演会,#20p-M206-4 (oral) (@東北大,仙台, 2022.09.20)
  6. 瘧師 貴幸,天野 郁馬,福地 厚, 有田 正志, 高橋庸夫:熱酸化・スパッタ成膜SiO2上に形成した金属ナノドットアレイの特性,第83回応用物理学会秋季学術講演会,#21a-A102-1 (oral) (@東北大,仙台, 2022.09.21)
  7. 椿 啓司,福地 厚,片瀬 貴義,神谷 利夫,有田 正志, 高橋 庸夫:急峻な温度誘起金属絶縁体転移を持たないCa2RuO4薄膜で観測された高速・不連続的な抵抗スイッチング現象,第58回応用物理学会北海道支部/第19回日本光学会北海道支部合同学術講演会,#C-II-8 (oral) (@室蘭工業大学,室蘭,2023.01.05)
  8. 福地 厚,椿 啓司,片瀬 貴義,神谷 利夫,有田 正志,高橋 庸夫:Ca2RuO4薄膜が示す温度誘起金属–絶縁体転移に依存しないモット型抵抗スイッチング現象,第70回応用物理学会春季学術講演会,#18a-A302-2 (oral)(@上智大,東京,2023.03.18)
  9. A. Tsurumaki-Fukuchi, T. Katase, H. Ohta, M. Arita, Y. Takahashi: Direct Observation of Ion Migration in Amorphous TaOx-Based Electronic Synapses, 22nd Intenal. Vacuum Cong. (IVC-22), #Thu-C1-2 (oral) (@Convension Center, Sapporo, 2022.9.15)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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