利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KU0016

利用課題名 / Title

高分解能顕微法による化合物半導体中の欠陥構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

光学顕微鏡/Optical microscopy,電子顕微鏡/Electron microscopy,イオンミリング/Ion milling,電子分光


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

藤 昇一

所属名 / Affiliation

福岡大学理学部物理科学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

匠 正治

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-004:広電圧超高感度原子分解能電子顕微鏡
KU-014:Arイオン研磨装置群
KU-015:コーティング装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

III2-VI3半導体は,多数の空孔が異なる配列をとることで複数の結晶変態をもつ.それらの一つであるGa2Se3のγ型では,X線回折と電子顕微鏡による研究結果が一致していない.我々はこれまでに粉末X線回折でγ型の結晶化条件を特定し,TEMにより積層欠陥の存在を確認した.本課題ではL-EDSとEELSを用いた超微細構造解析を行い,γ型の積層欠陥と結晶構造の詳細を調べる.昨年度は課題申請が遅かったこともあり、試行実験しかできなかった。本年度より、本格的に超高分解能カラムマッピングに取り組み、成果を得ることを目的とする。

実験 / Experimental

元素のマッピングにより,γ型Ga2Se3の積層欠陥が,III2-VI3半導体に特有の空孔から構成された”空孔面”なのか,あるいは試料の酸化などの影響による周期の乱れなのかを解明するため超高分解能走査透過電顕法(HR-STEM)を用いた.また、積層欠陥の性質を調べるため、エネルギー分散型分光分析(EDS)だけでなく、エネルギー損失分光分析(EELS)を併用する。特に本年度はEELSによる酸素の分析に重点をおいた。

結果と考察 / Results and Discussion

本年度は、広電圧超高感度原子分解能電子顕微鏡(JEM-200CF)を用いたEELS法の技術的な習熟に努めた。単にスペクトルを得るだけでなく、状態分析に耐えうるだけのエネルギー分解能を得るための条件の探索に注力した。具体的には、積層欠陥の特質を明らかにするため、酸素に重点をおいた検討を行った。可能な限りパラメータを変えながらデータの比較検討を行った結果、スペクトルの質が向上した。当初目的に挙げたカラムマッピング像は、現在までのところ得られていない。2次元の元素マップは得られていないが、線分析や点分析、また、EDSを併用した分析なども行った結果、積層欠陥には酸素は含まれておらず、空孔である可能性が高いと考えている。今後は、この点を検証するため、引き続きカラムマッピングに取り組むとともに、EELSのエネルギー分解能の条件を追求し、状態解析を行い積層欠陥の性質を明らかにしたい。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


当初の条件で取得した酸素のEELSスペクトル。ノイズが顕著であるため、エッジの詳細な解釈ができない。



分析条件を検討した結果、ノイズを軽減することができたため、エッジの詳細な構造が認められる。取得時間は100秒、プローブサイズ;6C、倍率;400万倍の条件で取得した。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

今回の実験にあたっては、九州大学超顕微解析研究センターの、山本博士、工藤博士、福永博士、鳥山研究員、前野氏に親身にご指導をいただいた。この場を借りて感謝申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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