利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KU0015

利用課題名 / Title

スピンコートしたYIG薄膜の結晶学的特性の調査

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

光学顕微鏡/Optical microscopy,電子顕微鏡/Electron microscopy,イオンミリング/Ion milling,スピントロニクスデバイス/ Spintronics device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

藤 昇一

所属名 / Affiliation

福岡大学理学部物理科学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

笠原 健司

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-004:広電圧超高感度原子分解能電子顕微鏡
KU-014:Arイオン研磨装置群
KU-015:コーティング装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

イットリウム鉄ガーネット(YIG)は,高周波帯の磁気損失が極めて小さいことから,スピントロニクスデバイスとしての応用が期待されている.YIG薄膜の作製手法の一つである有機金属分解(MOD)法は,有機金属化した材料を基板にスピンコートし,熱処理するだけの非常に簡便な方法であるが,この手法で作製されたYIG薄膜の結晶学特性の調査は少なく,不明な部分が多いのが現状である.昨年度は収差補正電顕を2度使用したが、目的とする局所領域の試料の状態が良くなかった。その点を踏まえて、本年度は精力的に試料点数を増やすなどして、薄膜の結晶構造の解明を行う。

実験 / Experimental

MOD法でガドリニウムガリウムガーネット(GGG)基板上に作製されたYIG薄膜は,X線回折測定により,エピタキシャル成長しているものの多結晶であり,その結晶サイズは数十nm程度であることが予想されている.また磁気測定からバルクに比べて明らかに劣る磁気特性が得られており,結晶粒界や基板界面近傍の状態,結晶内部の欠陥(転位など)などを明らかにすることで,特性劣化の原因を解明できるものと期待される.昨年度はEDS分析しか行えなかったが、EELS実験を加えて、電子状態解析の側面からの知見も得るため特に試料作製、イオン研磨に重点を置いた実験を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

昨年度においても、広電圧超高感度高分解能電子顕微鏡(JEM-200CF)による観察並びに分析を行ったが、観察部位のイオン研磨の状態が良くなく、精彩なデータをとることができなかった。本年度はその点を踏まえて、試料作製に重点を置き、試料の前処理手順やイオン研磨の条件を変えながら試料作製を行った。本研究の試料はスピンコートされた面を貼り合わせた試料を機械的に研磨し、さらに九州大学超顕微解析研究センターに設置されているGatan PIPS2を用いてイオン研磨による薄膜化を行っているが、スピンコート面に適当な厚さの薄膜部位を作成することが非常に困難であった。そのため、電子顕微鏡観察においても、昨年以上のデータのクオリティを得るまでには至っていない。光学顕微鏡で予備観察を行った段階では適切な厚さと考えられるが、実際に電子顕微鏡下では明瞭な原子像が得られていない。条件の試行錯誤に加え、試料点数を増やして継続的に作製を行うとともに、イオン研磨時に不純物が再コートされるなどの原因も考えられるため、さらなる条件の検討並びに実験が必要であると考えられる。また、イオン研磨時の電圧、電流値がスピンコートした物質に適切でなかった可能性もあるため、その点も注視したい。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

今回の実験にあたっては、九州大学超顕微解析研究センターの、山本博士、工 藤博士、福永博士、鳥山研究員、前野氏に親身にご指導をいただいた。この場を借りて 感謝申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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