利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT1200

利用課題名 / Title

トポロジカル絶縁体の輸送特性

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

リソグラフィ/Lithography,トポロジカル量子物質/ Topological quantum matter


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

徳本  有紀

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

澤村智紀

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-500:高速大面積電子線描画装置
UT-700:4インチ高真空EB蒸着装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

トポロジカル絶縁体はバルクは絶縁体でありながら表面にはヘリカルにスピン偏極したディラック電子による金属状態が存在する。トポロジカル絶縁体の分野では、表面・転位伝導の検出・抽出のために、バルク絶縁性を向上させることが重要な課題である。これまでに我々の研究グループでは、Pb(Bi,Sb)2Te4を対象とし、Sb分率を調節することでバルク絶縁性を向上させ、最大160 mΩcm程度の抵抗率の試料を得ることに成功した[1]。本研究ではInドーピングによるPb(Bi,Sb)2Te4のさらなるバルク絶縁性向上、および、バルク絶縁性の高い試料を用いた表面伝導評価を目的としている。バルク絶縁性の高い試料を薄片化し、表面伝導測定を行うために、東京大学マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)微細加工部門の設備を利用して薄片試料を載せる基板を作製した。

実験 / Experimental

ブリッジマン法によりInドープPb(Bi,Sb)2Te4トポロジカル絶縁体結晶を作製した。結晶はモル比がPb:In:Bi:Sb:Te=(1-x):x:(0.21×2):(0.79×2):4となるように各元素を秤量し、ブリッジマン法により作製した。Inドープ量はx=0.01,0.02,0.04の3通りとした。バルク絶縁性の高い試料を薄片化し、表面伝導測定を行うために、薄片試料を載せる基板を東京大学で作製した。 電子線描画装置を用い、SiO2/Si基板にCADで作製した電極パターンを描いた。現像した後、Au電極を蒸着した。その後、プラズマエッチングを用いてSiO2を除去した。

結果と考察 / Results and Discussion

x=0.01,0.02,0.04のいずれのInドープ試料においてもノンドープ試料を上回るバルク抵抗率を持つ試料を得ることができた。さらに、抵抗率の温度依存性の解析の結果、Pb(Bi,Sb)2Te4では見られなかった三次元可変領域ホッピング(Variable-range hopping: VRH)の挙動が明らかとなった。磁気抵抗は低温で通常の金属とは異なる特殊な振る舞いが見られ、三次元弱反局在(Weak Anti Localization: WAL)の式でよくフィッティングできた。これらの結果から、Inドープにより空間的に離散した不純物バンドが形成され、これによりバルク絶縁性が大幅に向上したと考えられる。 バルク絶縁性の高い試料をスコッチテープ法で薄片化し、基板上に転写し、AFMで観察したところ、厚さが薄いもので100 nm以下の薄片が得られていることがわかった。今後、薄片試料の伝導測定を行う予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献:[1] Y. Hattori et al., Phys. Rev. Mater., 1, (2017) 074201.
・本研究はJSPS科研費22H01765の助成を受けたものです。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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