【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22CT0212
利用課題名 / Title
Ultra-High-Capacity Lithium Metal Batteries Based on Multi-electron Redox Reaction of Organopolysulfides including Conductive Organic Moieties
利用した実施機関 / Support Institute
公立千歳科学技術大学 / Chitose IST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
ジスルフィド,次世代蓄電池, 逆加硫, ラマン分光
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
谷藤 尚貴
所属名 / Affiliation
米子工業高等専門学校 総合工学科 化学・バイオ部門
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
清水 剛志
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
単体硫黄は、2電子酸化還元活性なジスルフィド結合をもつため、現行リチウムイオン電池の10倍の理論容量1680 mAh g-1をもつ次世代蓄電池の正極活物質として注目されてきた。しかし、単体硫黄の電子伝導性が低いため、単体硫黄を正極活物質としたリチウム金属電池から得られる容量は理論値の半分程度だった。申請者は、これまでに多量の単体硫黄と少量のm-フェニレンおよび1,3-ジチオール-2-チオンを含む混合物の加熱(逆加硫)によって合成した導電性ポリスルフィド(図1)を正極活物質としたところ、容量1096 mAh g-1を示すことを明らかにしてきた(図2)。本測定では、この高容量がジスルフィド結合の酸化還元反応が完全に進行していることを確かめるため、ラマン分光測定を行った。ラマンスペクトルでは424 cm-1付近にジスルフィド由来のピークが観測されることを利用し、申請者は、充放電前・放電後・再充電後の導電性ポリスルフィド正極をサンプルとし、ジスルフィド由来のピーク強度変化を観測した。
実験 / Experimental
実験は、以下3つの工程にしたがって行われた。まず、導電性ポリスルフィドを30 wt%含む正極を用いたリチウム金属電池を作製した。次に、充放電測定(電流密度200 mA g-1、放電後:1.5 V; 再充電後:3.0 V)を行い、Ar雰囲気下のグローブボックス内で電池を分解して正極のみ取り出した。最後に、各電圧における正極のex situ ラマン分光測定を行い、424 cm-1付近のピーク強度変化を観測した。
結果と考察 / Results and Discussion
本実験で得られたEx situ ラマン スペクトルを図3に示す。充放電前における正極の S-S 結合に起因する424 cm-1付近のブロードなピークの強度は、カーボンブラックのピークと重なったため、導電性ポリスルフィド(Pristine)よりも小さくなっている。また、充放電前に観測された424 cm-1付近のピークは、放電後で消失し、再充電状態において再び観測された。これは、導電性ポリスルフィドに含まれるジスルフィド結合の酸化還元反応が完全かつ可逆的に進行したことを示唆しており、導電性ポリスルフィドを正極活物質としたリチウム電池が、可逆的な S-S 結合の切断/形成に基づく酸化還元反応により、高容量を示したことを支持する。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図 1. 有機基とジスルフィドが共存する正極活物質の開発背景
図 2. 有機ポリスルフィドを正極活物質としたリチウム電池の充放電曲線(電流密度:200 mA g-1; 電圧: 1.5–3.0 V)
図 3. Ex situ ラマンスペクトル (a) 0–4000 cm-1, (b) 0–1000 cm-1.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Takeshi Shimizu, Ultra-High-Capacity Lithium Metal Batteries Based on Multi-Electron Redox Reaction of Organopolysulfides including Conductive Organic Moieties, Polymers, 15, 335(2023).
DOI: 10.3390/polym15020335
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:2件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:2件