【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.28】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22CT0053
利用課題名 / Title
炭素系素材および関連素材を利用する新材料の創製
利用した実施機関 / Support Institute
公立千歳科学技術大学 / Chitose IST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
環境汚染物質除去,赤外分光,X線回折,X線回折/X-ray diffraction,赤外・可視・紫外分光/Infrared and UV and visible light spectroscopy,赤外・可視・紫外分光/Infrared and UV and visible light spectroscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
高田 知哉
所属名 / Affiliation
公立千歳科学技術大学理工学部応用化学生物学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
小野遼人,原子藍花,岡本恵太朗,新谷海凪,猪多航平,漆舘琉介,木村恭太朗,中川翼,行澤桃子,松田渓太郎,森川雄斗
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
CT-015:X線回折装置(XRD)
CT-002:フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)/赤外顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
炭素系素材および類似の構造を持つ関連素材を用いて、それらの性質を活用した種々の新材料(吸着材料、触媒材料)を創製し、素材の性質および作製条件と得られる材料の物理・化学的特性との関連について検討する。
実験 / Experimental
・多孔質炭素表面の表面修飾と水中の陰イオン除去 種々の細孔構造をもつ多孔質炭素の表面を化学的に修飾し、水質汚染物質となる各種イオンの除去への応用について検討した。本課題では表面修飾法として、アミノシラン修飾、カルボキシシラン修飾、ジルコニウムイオン担持について調べた。X線回折測定および赤外吸収スペクトル測定による吸着剤の構造解析、陰イオン(硝酸イオン、フッ化物イオン)の吸着等温線の測定および吸着条件による各イオンの吸着量変化の観察を行った。
・グラファイト状窒化炭素光触媒による有機分子の分解 可視光光触媒であるグラファイト状窒化炭素を、異なる原料からの調製や電子線照射処理といった手法により構造改変し、光触媒活性の変化について調べた。原料(メラミン、尿素)を種々の重量比で混合した原料を加熱し、構造の異なるグラファイト状窒化炭素を得た。また、メラミンから作製したグラファイト状窒化炭素に電子線を照射し、欠陥構造を導入した。これらのグラファイト状窒化炭素を用いて、水中の色素(ローダミンB)や空気中のホルムアルデヒドの光触媒分解を観察した。
結果と考察 / Results and Discussion
・多孔質炭素表面の表面修飾と水中の陰イオン除去 多孔質炭素をアミノシラン修飾し、さらにアミノ基を塩酸塩化することで硝酸イオンの吸着容量が向上することがわかった。硝酸イオンと塩化物イオンの交換反応により硝酸イオン吸着が促進されていると考えられる。カルボキシシラン修飾の試みでは、無水コハク酸末端を有するシランでの表面修飾とそれに続く加水分解により、従来の反応よりも簡便な方法でカルボキシシラン修飾が可能であることを見出した。多孔質炭素のジルコニウムイオン修飾により、フッ化物イオンの吸着容量が向上することがわかった。また、塩基性条件下および炭酸イオン存在下ではフッ化物イオン吸着量が減少した。ジルコニウムイオンへのフッ化物イオン吸着の際、水酸化物イオンや炭酸イオンが競争的に吸着してフッ化物イオンの吸着を阻害していると考えられる。
・グラファイト状窒化炭素光触媒による有機分子の分解 メラミン/尿素混合比を変化させてグラファイト状窒化炭素を調製してホルムアルデヒドの光分解を観察したところ、原料重量比で等量混合して得られたものが最も光触媒反応速度が大きいことが見出された。欠陥構造生成による反応性の変化と、層間隔拡大・層剥離による光吸収面積の変化のバランスによって光触媒反応速度が支配されていると考えられる。メラミンから得たグラファイト状窒化炭素に電子線照射すると構造が変化し、比較的低線量の照射で光触媒反応(ローダミンBの分解)速度が大きくなる一方で過大な線量での照射はむしろ反応速度を低減させることがわかった。欠陥構造生成による反応性の変化と、粒子表面の細孔構造の変化のバランスによって光触媒反応性が支配されると考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Aika Harako, Effects of the electron-beam-induced modification of g-C3N4 on its performance in photocatalytic organic dye decomposition, Chemical Physics Letters, 813, 140320(2023).
DOI: 10.1016/j.cplett.2023.140320
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 小野遼人, 下田周平, 福岡淳, 高田知哉, "ジルコニウム担持メソポーラスカーボンの構造とF-吸着特性", 第49回炭素材料学会(姫路市), 令和4年12月
- 行澤桃子, 下田周平, 鈴木啓太, 福岡淳, 高田知哉, "アミノシラン修飾メソポーラスカーボンによる硝酸イオン吸着回収", 化学系学協会北海道支部2023年冬季研究発表会(札幌市), 令和5年1月
- 原子藍花, 下田周平, 鈴木啓太, 福岡淳, 高田知哉, "グラファイト状窒化炭素への電子線照射による構造変化と光触媒反応性との関係", 日本化学会第103春季年会(野田市), 令和5年3月
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件