利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UE5283

利用課題名 / Title

CVDおよび液相法により合成した各種ナノカーボンの透過型電子顕微鏡および顕微レーザーラマン分光計を用いた構造評価

利用した実施機関 / Support Institute

電気通信大学 / UEC

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/Electron microscopy,ナノカーボン,ナノチューブ


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

山際 清史

所属名 / Affiliation

帝京科学大学生命環境学部自然環境学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

桑原 大介,木村 誠二

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UE-017:透過型電子顕微鏡
UE-006:顕微レーザーラマン分光計


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 カーボンナノチューブ(CNT)の合成法としては化学気相成長(CVD)法が知られているが、当研究室では、基板材料を液相中で抵抗加熱することで常圧・短時間のCNT合成が可能である「液相一段合成法」を開発し、一連の研究を行っている[1]。液相法の利点として、CVD法と比べて添加剤の選択と組み合わせの多様性が挙げられる。本研究では、薬品賦活剤としても知られるアルカリ試薬を添加剤として用い、特に水酸化ナトリウム(NaOH)の添加がCNT の生成量や形態に与える効果を検討した。合成された各種ナノカーボンの構造を、電気通信大学の透過型電子顕微鏡(JEM-2100F)により観察し、また顕微レーザーラマン分光計(NRS-3100)によりグラフェン構造の乱れについての知見を得た。

実験 / Experimental

 炭素源のエタノールにCNTの成長触媒の前駆体として酢酸コバルト(II)四水和物を2 mMとなるように溶解させ、添加剤のアルカリ試薬として水酸化ナトリウム(NaOH)を加え、合成溶液を調製した。アルカリ試薬の濃度は2mMとした。基板材料にはステンレス鋼(SUS304、5×25×0.1 mm)を用い、溶液中で電圧を印可し、表面温度が750℃となるよう調節して10分間抵抗加熱した。合成後の基板表面の生成物について走査型電子顕微鏡(研究室所有)、透過型電子顕微鏡(電気通信大学、JEM-2100F)、顕微レーザーラマン分光計(電気通信大学、NRS-3100)を使用してキャラクタリゼーションを行った。

結果と考察 / Results and Discussion

 NaOH添加の有無に関わらず基板表面にはCNTが生成するが、特にNaOH添加系では、未添加系と比べてCNTの生成密度が向上するとともに高配向CNTが生成し、NaOH添加によるCNTの成長促進効果が示唆された。TEMによる観察から、NaOH添加系では、未添加系と比較してCNTの外側に付着しているアモルファスカーボンが減少したように見受けられた。ラマン分光測定の結果比較をFig. 1に示す。一般的にDバンド(~1340cm-1)とGバンド(~1580cm-1)の面積比(ID/IG)が小さいほど欠陥構造の少ないカーボン材料である。バンドの面積比はNaOH添加系の方が小さく、NaOH添加により欠陥構造(アモルファスカーボン)の減少が示唆され、TEMによる知見を支持するものとなった。これらの添加効果は液相合成中に同時に進行するカーボン賦活反応と関連していると考えられ、実験と考察を継続している。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1. Raman spectra of CNTs prepared by the liquid-phase synthesis.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献 [1] K. Yamagiwa, J. Kuwano, Material Chemistry and Physics, 204, 323 (2018).
謝辞:本研究の一部は、JSPS科研費22K04704の助成、また文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業(課題番号:JPMXP1222UE5283)の支援を受けた。
A part of this work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number 22K04704 and “Advanced Research Infrastructure for Materials and Nanotechnology in Japan (ARIM)” of the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT), Grant Number JPMXP1222UE5283.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. “機能性ナノ材料の創製と応用 帝京科学大学山際研究室”,国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2023),山際清史,1G-28-06,東京ビッグサイト,2023年2月.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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