【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.07.28】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22OS1045
利用課題名 / Title
ナノアンテナの作製と光マネジメント
利用した実施機関 / Support Institute
大阪大学 / Osaka Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies
キーワード / Keywords
リソグラフィ/Lithography
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
村井 俊介
所属名 / Affiliation
京都大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
TienTang Lo,東野 真
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
サブ波長サイズを有するナノ粒子の周期配列はナノアンテナとして盛んに研究されている。ナノアンテナに光が照射されると、個々の金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴(Localized surface plasmon resonance, LSPR)と周期配列に起因する面内回折との同時励起により、表面格子共鳴(Surface lattice resonance, SLR)が励起される。SLRを利用することで、ナノ粒子の近傍に更なる増強電場が発現したり、蛍光体と組み合わせることで、発光を増強したり指向性を付与することが可能となる。当研究室は2021年にナノインプリントリソグラフィー法を使い、Alナノアンテナシールの開発に成功した。シールを貼ることで、ナノアンテナシールのSLRと様々な光学材料との組み合わせを対象とすることができる。ところが、Alは可視域においてLSPRによる散乱特性がそれほど強くないため、可視域での効果が制限されている。そこで本研究では、Alの代わりに、可視域できわめて優れた散乱特性を持つAgを用い、Agシールを開発した。得られたAgナノアンテナシールの光学特性および発光増強機能を調べた。
実験 / Experimental
シリカガラス基板に転写犠牲層であるポリビニルピロリドン(PVP)膜をスピンコートし、電子線蒸着法により膜厚15 nmのAlと150 nmのAgを製膜した。二種類の金属薄膜の界面を強固なものとするために、低温で熱処理を行い、金属固溶体を形成した。続いて、熱処理した試料に対して、ナノインプリント法によりパターンを形成させ、ドライエッチングによりナノアンテナを作製した。その後、ナノアンテナ試料にポリジメチルシロキサン(PDMS)を流し込んで固化した後、超純水でPVP膜を溶解させ、ナノアンテナをPDMSに転写した。
金属固溶体の生成はX線回折法で、転写前後のナノアンテナ試料の構造観察は走査電子顕微鏡で、ナノアンテナシールの光応答および発光測定は分光器が搭載された角度分解能を有する回転ステージで評価した。また、共鳴モードの帰属のために、COMSOL Multiphysics 6.0で電磁場解析を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
PVPとの界面にアルミニウムを挟むことでAgが剥がれやすいという作製上の困難を克服し、Agナノアンテナシールの作製に成功した。Fig.1(a)に示した消光スペクトルから、アレイの周期に対応したSLRが励起されることがわかり、シミュレーションの解析結果から、鋭い消光ピークの起源は面外四極子共鳴由来のSLRであることが明らかとなった。また、シールを色素含有の薄膜に貼付し、発光への効果を調べたところ、Fig.1(b)に示すように、SLRに沿った強い発光増強が観察された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1. (a) Extinction spectra as a function of incident angle for the square array of Ag nanoantenna stickers (period = 420 nm) on the dye-containing polymer film. (b) PL enhancement, defined as the PL intensity through the sticker divided by that without the sticker, as a function of emission angle for the sticker bearing the square array of Ag nanoparticles (period =420 nm) on the dye-containing polymer film.
Fig. 2. Spectrally integrated PL enhancement of (a) Ag, and (b) Al nanoantenna stickers. The magenta regions show the integrated PL enhancement over the wavelength range of the PL wavelength of organic dye (= 550-700 nm). The red dots show the integrated PL enhancement over the SLR peak regions, where 600-624nm for Ag, 590-634nm for Al, respectively.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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TienYang Lo, Silver Nanoantenna Stickers for Photoluminescence Control, ACS Applied Optical Materials, 1, 870-877(2023).
DOI: https://doi.org/10.1021/acsaom.3c00024
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件