【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.07.28】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22OS0030
利用課題名 / Title
ガラス、セラミックス、金属中に形成した微構造の観察
利用した実施機関 / Support Institute
大阪大学 / Osaka Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/Electron microscopy,集束イオンビーム/Focused ion beam,コンポジット材料/ Composite material
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
篠崎 健二
所属名 / Affiliation
大阪大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
OS-001:3MV超高圧電子顕微鏡
OS-003:200kV原子分解能走査透過分析電子顕微鏡
OS-005:複合ビーム3次元加工・観察装置
OS-008:電界放出型200kV高分解能電子顕微鏡
OS-009:200kV回折コントラスト電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ガラスは脆いことがその応用を制限しており,その解決は急務である。ガラスが脆いのはき裂先端に大きな応力集中がおきるためである。したがって,延性を付与し,き裂先端周辺の応力集中を緩和できれば脆性は改善すると期待される。本研究では金属ナノ粒子を微量添加することで延性を付与することを試みた。ニッケルでコーティングしたSiO2ナノ粒子のSPS焼結により,Ni粒子をSiO2ガラスに均一に分散させた。その結果,0.5vol%のNi粒子の添加で破壊靭性を大幅に向上することに成功した。そのメカニズムについても検討を行った。
実験 / Experimental
SiO2ガラスナノ粒子 (平均粒径12 nm) をNi(NO3)2水溶液に分散させ,スターラーにてよく攪拌した。その後,100℃で脱水,乾燥させた。得られた粉末を3%H2/Ar雰囲気下で600℃または1000℃で2 h熱処理を行った。得られた粉末をSPSにて30 MPaの加圧下で1100℃にて10 min焼結した。その後,得られたサンプルを鏡面研磨した。サンプルをXRD,密度測定,TEM観察,ヤング率測定を行った。表面の変形挙動をナノインデンテーション法にて,き裂の発生挙動をビッカース試験にて評価した。破壊靭性の評価のため,FIBにてサンプル表面をカンチレバー状に加工し,ナノインデンターを用いた曲げ試験にて破壊靭性評価を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
99.9%以上の相対密度を有するサンプルが得られ,添加量から0.5vol%のNiが分散していると見積もった。600℃熱処理及び1000℃熱処理サンプルはTEM観察よりそれぞれ120および30 nmの平均粒径と見積もられた。得られたサンプルを9.8Nの荷重でビッカース試験した結果、ニッケル析出サンプルではSiO2ガラスに比べ円周状のクラックが顕著に抑制され,直線状のクラックの長さが短くなった。マイクロカンチレバー曲げ試験により求めた破壊靭性は120 nmと30 nmのニッケル析出サンプルでそれぞれ2.0 MPa1/2,1.0 MPa1/2であり,SiO2ガラスの0.73 MPa1/2よりも大幅に向上した。ごく微量の析出にもかかわらず効果的にじん性を向上させた。き裂近傍のSTEM観察を行い,き裂先端の曲率がSiO2ガラスの場合より大きいことを明らかにした。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
大阪大学超高圧電子顕微鏡研究センターの市川聡教授にFIBおよびTEMの支援をいただいた。TEM観察は大阪大学ナノテクノロジープラットフォーム(課題番号:A-21-OS-0022)を利用したものである。本研究は、JSTさきがけ [助成番号: JP19206153] およびJSPS [助成番号: 21K18837] から助成を受けた。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Lei Liu, Brittle–ductile transition and toughening of silica glass via Ni nanoparticle incorporation at a small volume fraction, Journal of Alloys and Compounds, 940, 168874(2023).
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jallcom.2023.168874
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 篠崎 健二、劉 磊、ナノ金属析出によるガラスの変形挙動制御と高強度化、日本セラミックス協会 第 34回 秋季シンポジウム 2020/09/02
- 篠崎 健二、ガラスのナノスケール構造設計による光機能および力学機能エンジニアリング、 第61回セラミックス基礎科学討論会 2023/01/07(招待講演)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件