利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.07.28】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22OS0023

利用課題名 / Title

食品由来分子とウイルスとの反応評価によるメカニズムの解明と高感度センサの開発

利用した実施機関 / Support Institute

大阪大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials

キーワード / Keywords

ウイルス,電子顕微鏡/Electron microscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

河原 敏男

所属名 / Affiliation

中部大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

林 京子,小松 さと子,松浦 生織,峯田 雅大

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ナノカーボン材料は、次世代半導体材料として期待されると共に、電子デバイス技術に基づく電流検出型センサーとしても卓越した特性を備え、各種センサー開発が行われている。電子デバイス構造であるので、バイオセンサーでは、ターゲット分子と特異的に結合する検出分子系の開発、及び、その展開プロセス開発も必要である。そこで、我々は、電子デバイス構造を作るためのプロセス開発を重点にバイオセンサー開発を行っている。
さて、ウイルス感染症は、多数の病原性ウイルスによる疾患である。その中で、単純ヘルペスウイルス(HSV)は、世界的に既感染者が圧倒的に多く、初感染後に潜伏感染を起こし、生涯にわたってウイルスゲノムを存続させるという特徴を有する。A型インフルエンザウイルス (IAV) は、流行性感冒の病原体であり、抗原変異を頻繁に起こして、時には新型ウイルスを出現させることがあり、国際的な流行監視体制が敷かれている。また、最近になって、感染性胃腸炎の病原体として、ヒトノロウイルスが特定されて、その感染力の強さと相まって感染阻止戦略が強く求められている。  
これまでのウイルス感染症対策は、 ワクチンと抗ウイルス薬の開発が中心である。抗ウイルス剤として市販されている認可薬のほとんどは、ウイルス特有の酵素に対する阻害剤である。この場合には、ウイルスが酵素をコードする遺伝子に変異が生じる場合が多く、薬剤耐性ウイルスの出現が重大な懸念材料である。耐性出現を回避するための薬剤開発には、細胞内でのウイルス増殖ではなく細胞外でのウイルス粒子を作用標的とすることが望ましい。そこで、HSV、IAVおよびネコカリシウイルス(FCV)(人工培養不可のヒトウイルスの代替ウイルス)を対象として、ウイルス不活化作用を有する物質を探索してきた。その結果、天然物由来の複数の物質を特定できた。それらの作用機序を解明する一環として、ウイルスが活性物質と接触した時の形態的変化を解析する必要があり、透過型電子顕微鏡(TEM)によりウイルスの構造を調べた。

実験 / Experimental

培養細胞にウイルスを感染させ、ウイルスが充分に増殖した時点で培地を回収して、遠心後の上清を化合物と混合して、室温で30分間処理する。対照には、化合物の代わりにPBSバッファーを用いた。さらにウイルスをUV照射で不活化後、観察用の試料とした。そして、日本電子製透過型電子顕微鏡(JEM-2100Plus)を用いて200 kVの加速電圧で電子顕微鏡観察を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

ウイルス試料はEu-Preyssler型リンタングステートカリウム塩を用いて染色した。TEMでの観察例をFig. 1に示す。未処理の試料では、ウイルスのカプシド構造が維持されていることが観察できた。FCVはサイズが小さいため周辺の不純物も見られるので、精製方法の検討も進めるとともに、このウイルスに対する殺ウイルス効果を調べていく予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1: TEM images for FCV.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本課題では、JST-Mirai 探索研究 (JPMJMI19D4 )、JST-Mirai 本格研究 (JPMJMI22D2)、JST A-STEP 産学共同〔本格型〕(JPMJTR204H)、科学研究費助成事業 基盤研究(C) (22K04902)、物質・デバイス領域共同研究拠点(20221210)の支援を受けた。
対応者:坂田孝夫特任研究員


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Vyankatesh Raml Kudkyal, Phenol Derivatives Obtained from Grape Seed Extract Show Virucidal Activity against Murine Norovirus, Molecules, 27, 7739(2022).
    DOI: 10.3390/molecules27227739
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 松浦生織, 峯田雅大, 林京子, 李貞範, 河原敏男, “Berberineのネコカリシウイルスに対する増殖阻害活性の評価”, 日本薬学会第143例会 (北海道), 26P2-am1-028, 令和5年3月26日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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