利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.07.28】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22OS0015

利用課題名 / Title

RAC1光スイッチによるアクチン重合・分岐の急速凍結クライオ電子線トモグラフィー

利用した実施機関 / Support Institute

大阪大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials

キーワード / Keywords

クライオ電子線トモグラフィー, 光・電子相関顕微鏡,電子顕微鏡/Electron microscopy, 蛋白質


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中田 隆夫

所属名 / Affiliation

東京医科歯科大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

稲葉 弘哲,吉原 壮悟,仁田 亮,今崎 剛

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

光岡 薫

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

OS-004:300kVクライオ電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

葉状仮足は枝分かれしたアクチン線維に富む細胞遊走などに重要な構造で、RAC1の活性化によって形成される。光遺伝学ツール、Photoactivatable-Rac1 (PA-Rac1)を用い、青色光の照射と急速凍結法との連携によってRac1活性化後のタイムコース試料を作製する。この凍結細胞試料をクライオ電子線トモグラフィに供し、アクチン細胞骨格のネットワークを解析し、葉状仮足形成におけるアクチン重合・分岐の素過程を明らかにする。

実験 / Experimental

過年度までに、クライオ蛍光顕微鏡EM Cryo CLEM(Leica)で撮影した蛍光像と相関したクライオ電子線トモグラフィー像を大阪大学超高圧電子顕微鏡センターのクライオ電子顕微鏡Titan Krios (300 kV)で位相板を用い、コントラスト高く取得することに成功していた。本年度は、経時的な変化を捉えるべく、多数のデータの取得を目指すとともに、神経細胞への応用を目指し、神経細胞の凍結条件を検討した。

結果と考察 / Results and Discussion

クライオ電子顕微鏡でアトラスを撮影し、グリッドのオリエンテーションを確認した。低倍率での観察で、蛍光顕微鏡で観察した細胞を同定した。さらに、細胞の形態やホールの位置からLifeact-mCherryの蛍光像から同定した葉状仮足の位置を求め、高倍率で連続傾斜像を取得した。これまで捉えられていなかった、過去の報告でよくみられる典型的な葉状仮足像を捉えることができたが、コントラストを得るために撮影しているグリッドのホール部分では、ブロット時に濾紙に引っ張られるためか、細胞膜がだぶついた様子で、細胞の先端での細胞膜と細胞骨格の関係を正確に論じることが困難であることが課題として見出された。また、氷を薄くすることと、細胞が乾燥せずに生きた状態であることとを両立することが困難であり、蛍光顕微鏡でライブセルイメージングで観察されるのと同様の状態の細胞のクライオ電子線トモグラフィー像を取得するには至らなかった。
今後は、ホール以外の部分で撮像し、細胞膜とアクチンとの関係性も含めて、経時的な変化を捉えたい。
一方、神経細胞については、グリッド上での培養やブロットの条件検討を行い、クライオ電子顕微鏡で細胞骨格を捉えることに成功した。今後、光遺伝学ツールやアクチンマーカーを導入し、COS-7細胞と同様に蛍光像との相関をとったクライオ電子線トモグラフィー像の取得を目指す。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は青山一弘招へい教授との共同研究として実施しました。また光岡薫教授には多大なご支援をいただきました。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 稲葉弘哲, 今崎剛, 青山一弘, 吉原壮悟, 高崎寛子, 加藤貴之, 後藤英仁, 光岡薫, 仁田亮, 中田隆夫. クライオ電子線トモグラフィーによる葉状仮足形成の可視化. 第82回日本解剖学会中部支部学術集会 2022. 10.15
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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