【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.07.28】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22OS0011
利用課題名 / Title
次世代高強度アルミニウム合金中のT相の組成・構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
大阪大学 / Osaka Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
アルミニウム基合金,電子顕微鏡/Electron microscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
清水 一行
所属名 / Affiliation
岩手大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
西嶋雅彦
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),共同研究/Joint Research
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究では、Al-Zn-Mg-Cu系合金中のT相のナノ構造解析を行う。Al-Zn-Mg-Cu系合金は析出強化型の高強度アルミニウム合金である。強化機構を担う析出相はη相だと従来から認識されているが、近年、このη相が合金の水素脆性の起源でもあることが明らかになった。そこで、析出相をη相からT相に切り替えることで、水素環境での合金の力学特性を向上させるべく、我々は研究を展開している。T相は、エンブリオ、析出プロセス、化学組成、結晶構造など、η相と比べて未解明な性質が圧倒的に多い。本研究では、T相の結晶構造・内部欠陥の有無を原子分解能電子顕微鏡により観察し、その組成も同定する。最終的には、構成原子の原子サイトも特定し、これに基づいて内部水素トラップ調査のための第一原理計算モデルを構築する。
実験 / Experimental
Al-Zn-Mg-Cu系合金を鋳造し、これに典型的なプロセスで均質化処理、熱間・冷間圧延、溶体化処理、時効処理を施した。T相析出のため、時効温度を高温に設定し、その温度でのピーク時効材を供試材とした。Arイオンミリングにより電子顕微鏡観察用の薄膜試料を作製した。JEM-ARM200Fを用いて、加速電圧200kVで作製試料のTEM明視野像、回折像およびHAADF-STEM像を取得した。
結果と考察 / Results and Discussion
高温時効したAl-Zn-Mg-Cu系合金のHAADF-STEM像を取得した。数~数十nmサイズの析出物が分散する組織を呈していた。η相はMgZn2、T相はMg32(Al, Zn)49の組成となることが知られており、HAADF-STEM像だけではその判別は困難である。そこで、制限視野回折パターンを取得し、η相とT相の分離を試みた。その結果、時効温度を高温にすることでT相の数密度が増加することが明らかとなった。T相と母相の方位関係は、既報と同じであった。今後は、T相の原子分解能像とシミュレーションを組み合わせ、T相のナノ構造の理解を深化させる予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 小野竜司, 清水一行, 鎌田康寛, 戸田裕之, 藤原比呂, 上椙真之, 竹内晃久: "Al-Zn-Mg-Cu合金の時効析出と水素脆化挙動", 軽金属学会第143回秋期大会, 2022年 11月.
- 清水一行, 戸田裕之, 藤原比呂, 平山恭介, 山口正剛: "Al-Zn-Mg合金におけるT相の水素トラップと水素脆化防止", 軽金属学会第143回秋期大会, 2022年 11月.
- K. SHIMIZU, H. TODA, H. FUJIHARA, K. HIRAYAMA, M. Yamaguchi, A. Takeuchi: Prevention of hydrogen embrittlement via preferential hydrogen partitioning to particles, ICAA18, Japan, Sep., 2022"
- R. ONO, K. SHIMIZU, Y. KAMADA, H. TODA, H. FUJIHARA, A. TAKEUCHI: Effect of high temperature aging on hydrogen embrittlement in 7XXX alloys, ICAA18, Japan, Sep., 2022
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件