利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NM0132

利用課題名 / Title

バルクおよびメソ細孔内のトリステアリンの結晶構造の調査

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

X線回折/X-ray diffraction,ナノ多孔体/ Nanoporuous material


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

名越 篤史

所属名 / Affiliation

国士舘大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-204:多目的X線回折装置_Cu_SSL


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

トリステアリンは棒状の分子形状をもつトリグリセリドで、α相、β’相、β相などの多形を示す。断熱型熱量計を用いた精密熱容量測定では、α相が200-270 Kで大きな過剰熱容量を示し、ゆるやかな構造変化が起きていることを示唆している。これの変化を温度可変の高輝度・高感度の粉末XRDで確認することを第1の目的とする。
また、トリステアリンを細孔径8 nmのメソポーラスシリカSBA-15に封入した場合、融点の細孔径依存性などはα相を示すと予想されるが、バルク試料と同じような構造変化が起こるか確認したい。この場合、メソポーラスシリカ細孔壁の影響も見積もるため、メソポーラスシリカのみで測定する必要がある。

実験 / Experimental

バルクのトリステアリンで融解状態から急冷しα相を形成させたあと-50℃から80℃まで10℃おきにXRD測定を行った。次に、65℃でアニールすることで最安定なβ相を形成させ、-50℃から80℃までXRD測定を行った。
次にSBA-15に封入した試料について細孔外に残存するトリステアリンをβ相にした後、-50℃から80℃までXRD測定を行った。SBA-15のみの試料についても同様の条件で測定した。

結果と考察 / Results and Discussion

バルクのトリステアリン室温でのXRD測定結果はすでに確認できており、α相は六方晶の等方的な副格子構造を持ち、β'相は分子軸が垂直の直方晶型、β相は分子塾が平行な三斜晶の副格子構造をもつ。α相では低温ではベータ’相類似の副格子に由来するブラッグピークを示し、温度の上昇とともにα相に典型的な六方晶のブラッグピークを示すようになった。これは室温で等方的で運動性の高いα相から低温で分子軸を垂直にして密度の高いβ’相類似の分子充填構造へ構造変化をしていることがわかった。熱測定の結果と合わせると、高次の相転移に近い挙動と理解される。
メソポーラスシリカに封じた材料では、細孔外の試料のブラッグピークや細孔壁のハローピークが邪魔で、細孔内の試料に関する十分な受方が得られなかった。細孔内の試料の情報を得るためには、放射光など強度の高い測定が必要であると考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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