利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NM0097

利用課題名 / Title

ToF-SIMSを用いた植物組織中の辛み成分の分子イメージング

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

質量分析/Mass spectrometry,高度素材識別技術/ Advanced material identification technology,未利用資源の有効利用技術/ Technologies for effective utilization of unused resources


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

横山 有太

所属名 / Affiliation

高知工業高等専門学校

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

牧野圭吾

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-205:飛行時間型二次イオン質量分析装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

植物に含まれる辛み成分は、抗菌作用や抗酸化作用など人体に有用な効果をもたらす。一方で、辛み成分の分布状態を直接観測することは難しく、植物組織中のどの部分に、どのように分布しているかはほとんど解明されていない。本研究では、試料に含まれる極微量成分の検出および分子イメージングが可能な飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)装置を利用し、植物組織中での辛み成分の分布状態評価を目指す。今回の測定では、低分子量の辛み成分であるアリシン(C6H10OS2, M.W. 162.3)をターゲットとした。この辛み成分はニラに多く含まれており、産地や部位ごとに測定試料を作製し、これらの試料中でのアリシン分子のイメージングを目指した。

実験 / Experimental

物質・材料研究機構の所有するToF-SIMS装置(PHI TRIFT V nanoTOF)を利用し、事前に作成したニラの凍結乾燥切片を測定した。3種類の試料に対し、測定位置を変えながら正イオン・負イオンの測定を行った。測定後、得られたスペクトルのピーク情報を解析用のデータファイルに変換し、所属機関に戻り解析を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

全二次イオン像では、繊維状の特徴的な構造が観測できた。二次イオン強度が最も大きいイオンはm/z 39のカリウムであり、この繊維状の構造がニラ表面の構造であることが確認できた。アリシン分子イオンの強度はほぼ0であったが、フラグメントの可能性のある複数のイオンが検出された。得られたスペクトルに対して多変量解析(主成分分析、多変量スペクトル分解)を行った結果、特徴的なイオンとして、m/z 20, 40, 62, 73, 101, 144などが示唆された。これらのイオンは繊維状の部分に多く分布しており、ニラに由来する可能性が高い。今回の測定ではアリシン分子イオンのイメージングが行えなかったため、これらのフラグメントが辛み成分に由来するのか、あるいはそのほかの成分に由来するのかまでは解明できなかった。辛み成分の分布状態を評価するために、辛み成分を固定した高品質な試料の作製方法を検討していく。また、アリシンやアリイン分子のみのToF-SIMS測定を行い、どのようなフラグメントイオンが発生するかを事前に調査し、ニラ試料のToF-SIMSスペクトルと比較することで、フラグメントイオンから辛み成分の分布を推定できるようにしていきたい。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

装置の利用にあたり、国立研究法人物質・材料研究機構 技術開発・共用部門 材料分析ステーションの宮内直弥様にご指導いただきました。厚く御礼申しあげます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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