利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.12.11】【最終更新日:2023.12.11】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NM0075

利用課題名 / Title

NMRを用いたC-A-S-Hゲルの構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

核磁気共鳴/Nuclear magnetic resonance,未利用資源の有効利用技術/ Technologies for effective utilization of unused resources


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

花町 優次

所属名 / Affiliation

日本原子力研究開発機構

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

Colin Walker,笹本 広,三原 守弘

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

大木忍

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-102:500MHz固体高分解能NMRシステム
NM-103:800MHzナローボア固体高分解能NMRシステム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

放射性廃棄物の地層処分において、坑道の支保工材料等として、産業副産物であるフライアッシュとシリカフュームを高含有する低アルカリ性セメント(High-volume Fly ash Silica fume Cement, HFSC)の使用が検討されている。日本原子力研究開発機構では、HFSCの主成分であるカルシウムアルミニウムシリケート水和物(C-A-S-H)ゲルを合成し、その化学的な安定性を評価するための実験及びモデル化を行っている。モデル化では、合成したサンプルに含まれるC-A-S-Hゲルや合成の際に付随して生成する副鉱物の組成を把握する必要がある。このため、2020年度には、合成したサンプルを対象に27Al及び29Si NMRスペクトルを取得し、Al及びSiの分配状態を同定した。その結果から合成したサンプル中のC-A-S-Hゲルの化学組成を導出することができた。しかしながら、浸漬期間が28日と短く、C-A-S-Hゲル以外の副鉱物の生成が多く、所期のAl/Siモル比を有するC-A-S-Hゲルの合成には至らなかった1)。本課題では、より浸漬期間の長い(6ヶ月)試料を対象に、同様な手法によりC-A-S-Hゲルの化学組成を導出するため、NMRスペクトルを取得した。

実験 / Experimental

Al/Siモル比とCa/Siモル比が異なる合成C-A-S-Hゲルサンプルを対象とし、それらの27Al及び29Si NMRスペクトルを取得した。合成サンプルは、目標Al/Siモル比=0.1及びCa/Siモル比=0.4、0.67、0.83、1.5、2.0としてアルミン酸三カルシウム、ケイ酸三カルシウム、シリカフューム混合物をイオン交換水に6か月間浸漬して作成した(合計5種)。分析機器及び分析条件は表のとおりとした。

結果と考察 / Results and Discussion

表に示す分析条件により、各サンプルとも概ね良好な27Al及び29Si NMRスペクトルが得られ、デコンボリューションによりピーク成分を分離することができた。Alについては、4、5及び6配位のピーク、SiO4四面体については、結合状態Q4、Q3、Q2及びQ1のピークが認められた。それらの位置から、サンプル中にはC-A-S-Hゲルに加え、副鉱物であるカトアイト、ストラトリンジャイト、アルミニウムシリケート水和物ゲル、third aluminate hydrate及びaluminum hydroxideが存在すると同定され、各鉱物の構成割合とC-A-S-Hゲルの化学組成を導出した。浸漬期間の短い2020年度の合成サンプルと比較すると、今回の合成サンプルは全体的に結晶化が進行していた。このため、導出された各鉱物の構成割合とC-A-S-Hゲルの化学組成は、2020年度の場合よりも正確であると考えられた。しかしながら、今回のサンプルでも、所期のAl/Siモル比を有するC-A-S-Hゲルの合成には至らなかった。今後は、より浸漬期間の長い合成サンプルや別の手法により合成されたサンプルも対象にNMRスペクトルの取得を検討する予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


表 分析機器及び分析条件


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本課題は,経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和4年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(TRU廃棄物処理・処分技術高度化開発)」の一部として行われました。また本研究の一部は、文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業(課題番号JPMXP1222NM0075)の支援を受けて実施されました。物質・材料研究機構の大木忍氏、出口健三氏、端健二郎氏のNMR分析支援には深く感謝いたします。参考文献 1) 原子力環境整備促進・資金管理センター, 日本原子力研究開発機構,令和2年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業 TRU廃棄物処理・処分技術高度化開発, 2021.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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