利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.28】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NM0054

利用課題名 / Title

カビの環境変動に応答したタンパク質発現挙動の網羅的解析

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials

キーワード / Keywords

質量分析/Mass spectrometry,未利用資源の有効利用技術/ Technologies for effective utilization of unused resources,抗菌・抗ウイルス材料/ Antibacterial/antiviral materials


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

桝尾 俊介

所属名 / Affiliation

筑波大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-002:LC-MS(Q-Exactive Plus)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

糸状菌(かび)は多細胞性の菌糸を伸長させることで生育範囲を拡大させる。菌糸を構成する細胞はどれも一見同じに見えるが、これらは機能的に異なる不均一な細胞の集団であると考えられている。本研究では、菌糸の部位特異的なプロテオーム解析と各種生化学・細胞生物学的解析を行うことで、糸状菌の菌糸の細胞ごとの機能分化を明らかとする。糸状菌は、醸造・発酵、創薬、工業製品の生産、作物病害などの広範な応用分野に関わる。本研究により、糸状菌の生育制御が可能となり、これら産業へ大きく貢献できると予想される。

実験 / Experimental

LC-MS(Q-Exactive)を用いてプロテオミクス解析を行った。糸状菌Aspergillus nidulansを液体培養し、得られた菌体からタンパク質を抽出した。Filter aid sample preparation (FASP)法を用いて全タンパク質をトリプシン消化後、ペプチドを回収した。C18チップを用いて得られたペプチドを脱塩・精製し、LC-MS/MSに供した。nano-LC の分離カラムはZaplous columna Pep-C18, 3um, 120Å, 0.1x150 mmを用いた。相互作用タンパク質を同定する際は、全タンパク質をGFP-Trapビーズを用いて免疫沈降した後、in gel digestion法によりサンプルを調製した。

結果と考察 / Results and Discussion

A. nidulansの菌糸先端部には伸長に関わる因子が多く存在することが知られ、これらの機能を明らかとすることは菌糸の機能分化を理解するうえで重要である。これまでに、A. nidulansのカルモジュリンCamが菌糸の先端部に局在化して菌糸の伸長に深く関与すること、先端部から基底部の細胞へのシグナル伝達に関与することが明らかとなっている。そこで、GFP-Trapビーズによる免疫沈降とLC-MS/MS解析により、Camおよび、カルモジュリン依存性キナーゼCmkA, CmkB, CmkCとそれぞれ相互作用するタンパク質を探索した。その結果、CamはCmkA, CmkB, CmkCとそれぞれ相互作用することに加え、ミオシンタンパク質など細胞内輸送に関与する様々な因子とも相互作用することが示された。また、CmkA, CmkB, CmkCで異なるタンパク質と相互作用することが示唆され、解糖系酵素など多様な因子との相互作用する可能性が示された。これらの成果は、菌糸伸長とカルシウムシグナル伝達の関係性を理解するうえで重要である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Ayaka Itani, Local calcium signal transmission in mycelial network exhibits decentralized stress responses, PNAS Nexus, 2, (2023).
    DOI: 10.1093/pnasnexus/pgad012
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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