利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.27】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NM0024

利用課題名 / Title

高性能二次元電気泳動法による次世代プロテオミクスの実用化

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

質量分析/Mass spectrometry


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

林 宣宏

所属名 / Affiliation

東京工業大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-002:LC-MS(Q-Exactive Plus)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

“高性能二次元電気泳動法を用いた次世代プロテオミクス法の開発”の一環として、申請者が独自に開発した二次元電気泳動法で得られたゲル上のスポットを形成するタンパク質の、高精度、かつ、ハイスループットの同定法を開発する。本年度は、月経周期に伴い変化する生理反応の網羅的解析、および、移植片対宿主病(GvHD)の早期診断法の開発を実施した。

実験 / Experimental

NIMSナノバイオグループのLC-MS/MS(LXQ)、および、LC-MS/MS (Q-Exactive)を使用して、申請者が調製する、切り出した二次元電気泳動のスポットのゲル内プロテアーゼ消化産物を用いたタンパク質の同定を行う。本年度は、以下の二つの研究を行った。
月経周期に伴い変化する生理反応の網羅的解析:⽇本体育⼤学の⼥⼦ソフトボール部37 名から1 週間おきに計5 回、⾎清を採取した。同時に、SHS を1〜5(5 に近いほど良いコンディション)で点数化した。さらに、SHS をスコアによって、Low (1, 2)、Mid(3)、High(4, 5)の3群に分けた。⾎清から計185枚の含有タンパク質の⼆次元電気泳動像を取得し、それらを⽤いてプロテオミクス画像解析ソフトウェア(Melanie)によってタンパク質の状態を定量化した。タンパク質の変動データと、⾎清から得た⼥性ホルモンのデータを、SHSの3群間で⽐較し、有意に変動するタンパク質を探索した。
移植片対宿主病(GvHD)の早期診断法の開発:白血病治療のための骨髄移植直後から9週間、週に1度採取した血清を用いて、10名の患者から90枚の二次元電気泳動画像を取得した。

結果と考察 / Results and Discussion

月経周期に伴い変化する生理反応の網羅的解析:SHS Highとその他のグループにおいて、4つのタンパク質が有意に変化していた。これらの結果を、ROC曲線を⽤いて、SHSの識別能を評価したところ、4つのタンパク質を複合的に⽤いた判断が、⼥性ホルモンよりも⾼いSHSの識別能を持つことが分かった。このことから、主観的な健康状態を評価するには、従来の⼥性ホルモンではなく、健康状態に直接的に関与するタンパク質を⽤いたほうが良いことが分かった。
移植片対宿主病(GvHD)の早期診断法の開発:縦断的プロテオーム解析により、代謝性合併症と溶血性貧血に関連するタンパク質が明らかになった。インスリン抵抗性の信頼できるマーカーであるRetinol-binding protein 4(RBP4)は、急性移植片対宿主病(aGvHD)や皮膚GvHDの発症メカニズムに関連する可能性があることが解った。このことは、インスリン抵抗性と代謝性合併症が移植後の直接的な合併症となりうること、そしてaGvHDと関連することを示唆している。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は、日本体育大学(月経周期に伴い変化する生理反応の網羅的解析)、および、東京大学医科学研究所(移植片対宿主病(GvHD)の早期診断法の開発)との共同研究である。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Sing Ying Wong, Longitudinal proteomics study of serum changes after allogeneic HSCT reveals potential markers of metabolic complications related to aGvHD, Scientific Reports, 12, (2022).
    DOI: doi:10.1038/s41598-022-18221-9
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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