【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.08】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NI0401
利用課題名 / Title
PbFeO3 の高圧下での 57Fe メスバウアー分光測定
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋工業大学 / Nagoya Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
メスバウアー分光, ペロブスカイト酸化物, PbMO3,メスバウアー分光/Mössbauer spectroscopy,セラミックスデバイス/ Ceramic device,資源代替技術/ Resource alternative technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
東 正樹
所属名 / Affiliation
東京工業大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
川上隆輝,劉 丘民
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
壬生 攻
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Aサイトが鉛であるペロブスカイト酸化物PbMO3(M:3d遷移金属)は、Pb2+が持つ孤立電子対の立体障害や、Pb2+とPb4+の電荷自由度により、特徴的な構造と電荷分布を持つ[1]。近年我々は、高圧合成されるPbFeO3が、空間群Cmcmの2a×6a×2a(a:単純ペロブスカイトの格子定数)の超構造とPb2+0.5Pb4+0.5Fe3+O3の電荷分布を持つ事を明らかにした[2]。Fig. 1のこの構造では、Pb2+だけの層(A)と、Pb2+:Pb4+が1:3に秩序配列した層(B)が-A-B-B-の順に積層しており、環境の異なる2つのFe3+が存在する。同じ電荷分布を持つPb2+0.5Pb4+0.5Cr3+O3が4GPaの高圧下でPb-Cr間の電荷移動によってPb2+Cr4+O3へと相転移することから[3]、PbFeO3においても同様の電荷移動転移が起こると期待される。本研究では、PbFeO3中のFeイオンの圧力下での配位環境と価数の変化をメスバウアー分光で調べた。
実験 / Experimental
57Feを25%エンリッチしたPbFeO3試料を高圧合成し、透過法で57Feメスバウアースペクトルを測定した。圧力下の測定にはダイヤモンドアンビルセルを用いた。速度範囲は±12 mm/sで、速度校正はα-Fe箔のスペクトルで行い、スペクトルの重心位置を速度0 mm/sの基準に設定した。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig. 2に3.0 GPa、23.0 GPa、32.5 GPaでのメスバウアースペクトルを示す。3 GPa、23.0 GPaでは2つの磁気分裂サブスペクトルが観測され、これはFe3+が2サイト存在することに対応する。これに対し、32.5 GPaのデータは一成分でフィットすることができた。また、アイソマーシフトに大きな変化はなく、金属間電荷移動は起こっていない事がわかった。これらの結果は、高圧相が1つのFeサイトを持つPnmaの斜方晶であり、常圧相から高圧相の転移に伴ってFe価数の上昇を示す体積変化はない、という放射光X線回折の結果とも符合している。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 PbFeO3の結晶構造
Fig. 2 PbFeO3の圧力下メスバウアースペクトル
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献[1] M. Azuma et al., Annu. Rev.Mater. Res., 51, 329 (2021).[2] X. Ye et al., Nat. Commun., 12, 1917 (2021)[3] R. Yu et al., J. Am. Chem. Soc., 139, 4574–4581 (2017).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件