利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT1191

利用課題名 / Title

半導体プロセスによる高精度な電子顕微鏡用レンズの試作

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡用光学素子,リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,高品質プロセス材料/ High quality process materials


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

津野 夏規

所属名 / Affiliation

株式会社 日立製作所 研究開発グループ ナノプロセス研究部

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

木澤駿

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

水島彩子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-604:高速シリコン深掘りエッチング装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

電子顕微鏡ではナノメートルオーダーの空間分解能での観察が可能であるが,光学素子として使用する電極の加工精度がレンズの収差や空間分解能の性能に大きく影響する。そこで,MEMSプロセスを用いた高加工精度な光学素子の製作を試みた。今回はレーザ直接描画装置と深堀エッチング装置を用いた簡易な試作を行い,装置の利用方法や加工条件の設計に関するノウハウを習得した。

実験 / Experimental

【利用した主な装置】
・レーザ直接描画装置(DWL66+, Heidelberg)
・高速シリコン深掘りエッチング装置 (MUC-21 ASE-Pegasus, SPTS)

【実験方法】
MEMSプロセスによりSi基板(4 inch, Si2000)の中心にホール(直径4.000 mm,深さ0.100 mm以上)を形成後,裏面バックグラインドにより基板の厚みを0.525 mmから0.100 mmに薄くすることで,光学素子を形成した。なお,MEMSプロセスはARIMの機器利用,裏面バックグラインドは専門メーカへの委託加工により実施した。このため,本報告ではMEMSプロセスを用いた工程に関して述べる。MEMSプロセスは下記の手順により,二種類のレシピ(①加工速度重視,②加工精度重視)を用いて行った。まず,Si基板の表面をOAP処理した後にレジスト(①JSR 7790G (Posi),厚み 1.1 μm;②SIPR-3251 (Posi),厚み 2.9 μm)を成膜した。次に,レーザ直接描画装置(①スポット径 2.0 μm, レーザパワー 60 mW,描画時間 10 sec;②スポット径 0.8 μm, レーザパワー 12.75 mW,描画時間 150 sec)を用いてレジスト上に円孔パターンを描画した。最後に,高速シリコン深掘りエッチング装置 (①SPT,25 cycle;②FRED, 200 cycle)によりホールを形成した。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig. 1に作製した光学素子のSEM画像を示す。①加工速度重視のレシピでは内径が4.019±0.003 mm,②精度速度重視のレシピでは内径が4.006±0.003 mm(n=4)であり,光学素子に必要な円孔を形成できることを確認した。また,内径の計測値が狙い値(4.000 mm)よりも大きくなる傾向を確認できるが,この要因はUndercutの影響によるものと考えられる。Undercutの影響は描画パターンの補正を行うことで対策可能である。またFig. 1(c, d)より,ホールの側壁部においてボッシュプロセスに特有のスキャロピングが観測されていることがわかる。スキャロピングは光学素子の放電を引き起こす可能性があることから,注意が必要である。このため今回の試作では,スキャロピングの影響が小さいレシピ②の方が光学素子の試作にとっては優れると考えられる。今後はレシピ②の条件を基に,スキャロピング等の加工痕を小さくするようプロセスの改良を図る。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1. SEM images of the electric static lens formed by MEMS. (a, c) Recipe ①, (b, d) Recipe ②, (a, b) Top view (c, d) Bird's-eye view.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

なし


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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