【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT1167
利用課題名 / Title
血中循環腫瘍細胞捕捉に向けたマイクロ流体デバイス
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials
キーワード / Keywords
マイクロ流体デバイス,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,MEMSデバイス/ MEMS device
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
早瀬 仁則
所属名 / Affiliation
東京理科大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
がん病巣から血管に漏れ出したがん細胞は血中循環腫瘍細胞(CTC: Circulating Tumor Cell)と呼ばれている。このCTCは、血球10億個に数個しかないと言われており、捕捉する手法は確立していない。我々は、がん細胞が血球細胞よりも大きくて硬い傾向があることから、決定論的横置換法に基づいたマイクロ流体デバイスにより、CTC濃縮を試みている。しかしながら、流路中に形成したマイクロポストアレイに詰まりが生じ流れが乱れるために、期待したCTC濃縮を出来ずにいた。前年度までに、添加剤により、この詰まりを大幅に抑制できる可能性が示されていた。今年度は、実際のがん患者の血液を用いて、昨年度開発した添加剤の効果を検証した。
実験 / Experimental
マイクロポストを規則的に形成したマイクロ流路によるDLD(Deterministic Lateral Displacement)法を用いて、血中から大きめの細胞を選別することにより、CTCの濃縮を行う。このため、ARIMの高速シリコン深堀りエッチング装置(UT-604)を用いて、シリコン基板に径15μm、高さが50μm程度のマイクロポストアレイを形成し、マイクロ流路基板を作製した。このマイクロ流路基板を組み入れたマイクロ流体デバイスを国立がん研究センターに持ち込み、がん患者の血液に添加剤を加え、全血約1mL分の試料を注入した。この際のマイクロ流路の様子をビデオ撮影し、詰まり具合を観察した。
結果と考察 / Results and Discussion
38例のがん患者血液の試料を用いたCTC濃縮において、すべて、顕著な詰まりは発生せず、CTC濃縮を期待通り行うことが出来た。なお、がん患者の血液試料は、すべてCTC検出に向けて使用しなければならないため、添加剤の有無による差の検証は、今年度は行っていない。しかしながら、従来の実験では、全血1mL分の実験を詰まりなく実施することはまれにしかできておらず、昨年度開発した添加剤が優れた効果を発揮し、長きにわたり悩まされていた詰まり問題を解決できたと考えている。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
血流の様子と画像処理による血流域の2値化
実験初期と終了時の血流域の変化
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 安積, 市川, 久保, 鈴木, 中面, 早瀬, 「循環腫瘍細胞捕捉のためのマイクロ流体デバイスの開発ー流路詰まりの抑制(7)-,2023年度精密工学会春季大会, H11 (2023.3)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件