利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT1107

利用課題名 / Title

CoFeB/Y3Fe5O12ヘテロ構造におけるスピン波磁気センサの開発

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

形状・形態観察、スピン波、スピントロニクス,リソグラフィ/Lithography,EB,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,スピン制御/ Spin control,スピントロニクス/ Spintronics,量子効果/ Quantum effect,IoTセンサ/ IoT sensor,スピントロニクスデバイス/ Spintronics device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

Tabata Prof. Dr. Hitoshi

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

Md. S. Sarker,矢野泰生,杉本雛乃,C. Zang,H. Zhou,S. Tang,寺尾健裕,伊山京助,西村佳菜,佐久間尊通,K. Ma,R. Sankar,山原弘靖

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-500:高速大面積電子線描画装置
UT-501:卓上アッシング装置
UT-503:超高速大面積電子線描画装置
UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-800:クリーンドラフト潤沢超純水付


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

スピン波は磁性体において磁性を担うスピンが集団励起によって歳差運動し、磁気モーメントが波として伝搬する現象である。近年、スピン波の位相干渉を用いた磁気センサが提案され、熱雑音からatto T(10-18 T)の検出限界が理論予測されている[1]。これは室温で超電導量子干渉計と同等の高感度測定が実現できる可能性があり、無冷媒・小型集積化・低コストの生体磁気センサ(心磁計・脳磁計)への応用が期待される。本研究ではスピン波磁気センサの高感度化を目的とし、CoFeB/Y3Fe5O12 (YIG)ヘテロ構造のデバイス作製とスピン波帯域除去[2]を報告する。

実験 / Experimental

スピン波伝搬材料には優れたダンピング定数を示すイットリウム鉄ガーネット(YIG)を選択し、スピン波の励起と検出にはコプレーナ線路(CPW)をAuで作製した。YIG単結晶薄膜(70 nm厚み)はパルスレーザ堆積法でガーネット基板(Gd3Ga5O12; GGG)上に成膜した。CoFeBストライプ(60 nm厚み)とコプレーナ線路(Au, CPW)はレーザー直接描画装置(DWL66+)によるリソグラフィとスパッタ法による金属薄膜成膜によって得た。スピン波の検出にあたっては、ベクトルネットワークアナライザ(VNA)を接続し、外部磁場印加条件下でSパラメータを計測した。

結果と考察 / Results and Discussion

Figure 1に作製したCoFeB/YIGスピン波素子の光学顕微鏡画像を示す。対向するCPW間に線幅15 μmのCoFeBストライプを作製し、スピン波伝搬を評価した。Figure 2に外部磁場20 mT、20.5 mTにおけるCoFeB/YIGヘテロ構造のスピン波スペクトル(S12)を示す。スピン波の共鳴周波数はKittel式 f=γ/2π(H(H+4πM))1/2γ:磁気回転比、M:磁性体の有効磁化)に従い、外部磁場Hに対応する周波数シフトを示す。YIG単膜(Reference)の場合は50 MHz幅のブロードなスペクトルを示すため、磁場に対する周波数変化(0.5 mTに対して20 MHz)を検出するのが難しい。一方、CoFeB/ YIGヘテロ構造では鋭敏な帯域除去を示し、磁場応答のマーカーとすることで高感度化が可能になる。スピン波スペクトルの測定結果に基づき、Y字型導波路のスピン波干渉をシミュレーションした結果、nT(10-9)の磁場検出が実証された。CoFeBストライプの形状を最適化することにより、更なる高感度化が期待される。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Optical microscopy image of CoFeB/YIG bilayer spin wave sensor.



Fig. 2 Spin wave spectra (S12) of the YIG reference and CoFeB/YIG bilayer sensor at external field of (a) 20mT and (b) 20.5 mT.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献 [1] Balynskyet al., Sci. Rep., 7, 11539 (2017). [2] H. Qin et al., Nat. Commun. 12, 2293 (2021).


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Md Shamim Sarker, Sensitivity enhancement in magnetic sensor using CoFeB/Y3Fe5O12 resonator, Scientific Reports, 12, (2022).
    DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-022-15317-0
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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