利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.12】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT1106

利用課題名 / Title

有機材料を用いた全塗布型・超高精細TFTアレイの開発

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

切削、電気計測、マテリアルサイエンス、有機半導体、有機トランジスタ,成形/Molding,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,高品質プロセス材料/ High quality process materials


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

Inoue Satoru

所属名 / Affiliation

東京大学大学院 工学系研究科 物理工学専攻 長谷川研究室

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

二階堂圭,宮田稜,村田啓人

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-906:ブレードダイサー


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

塗布型有機薄膜トランジスタ(TFT)の高性能化には、有機半導体開発と薄膜製造法の一体的な研究が求められる。本年度は新規有機半導体PE-BTBT-Cnの高均質な単結晶薄膜をシリコンウエハ上に作製するための塗布製膜方法を検討するとともに、得られた薄膜を用いて作製した有機 TFT電気特性評価を調べ、高性能化に向けた指針を得た。

実験 / Experimental

ブレードダイサーを使用して熱酸化膜付きシリコン基板を15 mm 角の形状に切削し、ゲート電極及び絶縁層を有する有機TFTの基材として用いた。この基板上にPE-BTBT-C12のクロロベンゼン溶液を用いてブレードコート法により室温塗布製膜を行い、得られる膜質の混合比に対する変化を調査した。さらに、得られた薄膜に真空蒸着で金属薄膜を形成し、ボトムゲート・トップコンタクト型の有機TFTを作製し、電気特性を評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

作製した有機 TFT の偏光顕微鏡像を Figure (a)に示す。得られた薄膜は、偏光子の回転に応じて光学的に一様な明暗の変化を示すドメインが数mmサイズで複数存在する単結晶となっていることがわかった。さらにこの薄膜は、薄膜X線構造解析やAFM観察によって、分子長軸を基板面直に向けて配向し、面内方向にTFTのキャリア輸送に最適なπ電子伝導面を持った層状結晶構造を形成していることがわかった。そこで、単結晶ドメインの一様な部分のみを用いて上部に電極を作成し、トップコンタクト型単結晶TFTを作製(Figure (b))してその特性を評価した。その結果、Figure (c)(d)に示す通り、伝達特性、出力特性ともに優れたTFT駆動性能を示すとともに、性能の重要指標となる移動度を算出したところ、平均7 cm2/Vs程度のきわめて優れたキャリア輸送特性を示すことがわかった。以上の結果から、今回新たに開発したPE-BTBT-Cnが、製膜方法・条件の適切な選択によって、常温常圧下で優れた性能を示すTFT作製に用いることが可能であることを明らかにした。   

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Figure (a) PE-BTBT-C12を用いて基板上に作製した単結晶薄膜の偏光顕微鏡像 (b) 単一結晶ドメイン上に作製したトップコンタクト型TFT(S, Dはそれぞれソース、ドレイン電極を示す) (c) 作製した単結晶TFTの飽和領域(VD=-40V)における伝達特性 (d) 作製した単結晶TFTの出力特性


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Kiyoshi Nikaido, Mixing‐Induced Orientational Ordering in Liquid‐Crystalline Organic Semiconductors, Advanced Materials Interfaces, 9, (2022).
    DOI: 10.1002/admi.202201789
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 二階堂 圭, 井上 悟, 都築 誠二, 熊井 玲児, 荒井 俊人, 長谷川 達生, “層状有機半導体pTol-BTBT-Cn系における分子混合によ る結晶多形制御と薄膜トランジスタ特性” 応用物理学会秋季学術講演会(東北大学), 令和4年9月20日
  2. 村田 啓人, 北原 暁, 東野 寿樹, 井上 悟, 松岡 悟志, 荒井 俊人, 長谷川 達生, ”高急峻スイッチング有機単結晶TFTにおける半導体電・電極界面の安定性と材料依存性” 応用物理学会秋季学術講演会(東北大学), 令和4年9月20日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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