【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.19】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT1072
利用課題名 / Title
マイクロ加工技術を利用した神経細胞群の機能評価
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
フォトリソグラフィ、細胞計測,リソグラフィ/Lithography
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
神保 泰彦
所属名 / Affiliation
東京大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
張智翔,榛葉健太
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
脳の記憶は大脳皮質と海馬の相互作用で形成されることが報告されている.記憶のメカニズム解明は,学術的な理由に加えて,記憶障害を特徴とする神経疾患の発生機序の理解にも重要である.本研究では,フォトリソグラフィをはじめとしたマイクロ加工技術により共培養用のデバイスを作製し,ラットより採取した海馬と大脳皮質の神経細胞の相互作用を評価した.
実験 / Experimental
マスクアライナMA6を利用したフォトリソグラフィにより,64点の計測電極を有する微小電極アレイを作製した.さらに,光感受性樹脂であるSU-8を硬化し,硬化したSU-8を鋳型としてPDMSを成形することで,海馬と大脳皮質の共培養を行うためのデバイスを作製した.デバイスは細いトンネル構造を有し,神経細胞の軸索のみが通過できる.2つの培養区画のうち,片方に大脳皮質を,もう一方に海馬の神経細胞を播種した.3週間程度培養をすることで両方の神経細胞を成熟させたうえで,電気活動計測による機能評価,および免疫組織化学染色による形態評価を行った.
結果と考察 / Results and Discussion
神経細胞の細胞骨格(Beta III Tubulin)と細胞核を染色し,共培養した大脳皮質と海馬の神経細胞の形態を観察した.図1に結果を示す.両方の培養区画から神経細胞が軸索を伸長し,もう一方の区画まで到達したことを確認した.また,細胞核がトンネル内に見られないことから,トンネル構造が十分に機能したことが示された.
Ca imaging法により細胞の活動を計測したところ,両者の神経細胞群が同期したタイミングで活動を示した.よって,両者が機能的な結合を計測したことが示唆された.さらに,微小電極アレイを用いて細胞の電気活動を計測したところ,複数の点で同期活動を計測できた.活動のパターンから,大脳皮質と海馬について,それぞれの生体内の特性を培養系においても維持していることが示唆された.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1,デバイス内で培養した大脳皮質と海馬の軸索(緑)と細胞核(青)に対する染色画像
図2,共培養した大脳皮質と海馬に対するCa imaginig法による活動計測
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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ChihHsiang Chang, Coupling of in vitro Neocortical-Hippocampal Coculture Bursts Induces Different Spike Rhythms in Individual Networks, Frontiers in Neuroscience, 16, (2022).
DOI: doi.org/10.3389/fnins.2022.873664
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 海馬の培養神経回路網における未熟神経細胞の割合と情報伝搬の特性の関係,森谷文香、榛葉健太、小谷潔、神保泰彦,2022年 電気学会 電子・情報・システム部門大会,口頭発表
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件