利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.09】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT1043

利用課題名 / Title

金フィッシュネット金属/半導体/金属構造共振器を用いた波長選択型熱光起電力電池の製作

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

波長選択,熱光起電力、GaSb,メタマテリアル,金属/半導体/金属構造,蒸着・成膜/Evaporation and Deposition,スパッタリング/Sputtering,リソグラフィ/Lithography,EB,電子顕微鏡/Electron microscopy,太陽電池/ Solar cell,熱電材料/ Thermoelectric material


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

吉岡 駿

所属名 / Affiliation

東京工業大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

石原光希

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-503:超高速大面積電子線描画装置
UT-700:4インチ高真空EB蒸着装置
UT-711:LL式高密度汎用スパッタリング装置(2019)
UT-509:枚葉式自動リフトオフ装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

近年,製鉄所などの排熱から放射される光を電気に変換する熱光起電力電池が注目されている.しかし熱光起電力電池は発電できる光の波長帯が限られていることでエネルギー変換効率が低いことが課題である.そこで本研究では,発電に寄与する波長帯の光のみ吸収し,それ以外の波長帯の光については反射することで,高効率発電を実現する波長選択型熱光起電力電池の製作を目的としている.この選択波長効果を持つ構造として.光の波長程度の周期的な微細構造と電磁場の共鳴効果を利用する金フィッシュネット金属/半導体/金属構造の電池を製作する.実施内容として,今回は数値シミュレーションを元に計算された構造設計(図1,2)を元に,東京大学ナノテクプラットフォームの公開装置を利用して (1)スピンコーティング (2)電子線描画,(3)現像,(4)金蒸着,(5)リフトオフ を行った(図3).

実験 / Experimental

実験手順は以下の通りである(図3).
(1)金スパッタへ貼り付けされたGaSb薄膜上に,スピンコートを用いてレジスト(ZEP-520A-7,日本ゼオン製)を200nm塗布する.
(2)電子線描画装置 (F7000)を用いて予め設計したフィッシュネット図を電子線描画する,このとき電子線描画はレジスト内の光の散乱によって実際の作成物は設計よりも大きくなってしまう傾向にある.そこで今回はフィッシュネットの幅とピッチの目標値それぞれ100nmと400nmに対し,設計を幅とピッチそれぞれ70nmと330nm,露光量は80[μC/cm2]付近(75,80,85,90)で行った.
(3)現像液および洗浄液(ZED-N50,ZMD-B,日本ゼオン製)を用いて現像を行う.
(4)現像後に高真空 EB 蒸着装置(NSPⅡ)を用いて,金の電子ビーム蒸着を行う,このとき蒸着を行った金の厚みは40nmである.
(5)最後に残留レジストを取り除くため,リフトオフ液(剥離104)を用いて超音波洗浄を行いリフトオフを行った.

結果と考察 / Results and Discussion

図4にリフトオフ前のサンプルSEM画像,図5はリフトオフ後のサンプルSEM画像を示す.
電子線描画する際に露光量を75,80,85,90μC/cm2に振ったところ,露光量が小さい(75,80)μC/cm2とレジストへの描画が不十分でリフトオフの際に金フィッシュネットが剝がれてしまったり,線が途切れてしまっている.原因は露光量不足による残留レジスト(図4 SEM画像における黒っぽい影の部分)の上で金蒸着されてしまい,リストオフの際にレジストと一緒に金が剥がれてしまったためと考えられる.一方,露光量を大きくする(85,90μC/cm2)とレジストへの描画が上手くいき,リフトオフ後に目的のフィッシュネット構造を得ることができた.ただし実際に作成したフィッシュネットの幅は目標値よりも小さくなってしまった.今後はレジストの感度特性を調べて露光量の調節を行い,また電子線描画の設計幅をより大きくすることで,目標の幅100nmピッチ400nmのフィッシュネット構造に近づけるようにする.またリフトオフの際に金が剥がれることを防ぐために,洗浄負荷の小さいより高周波な超音波洗浄機を用いて,フィッシュネットへのダメージを小さくする.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. 目標の金フィッシュネット金属/半導体/金属構造



図2. 黒体放射スペクトルとMSM構造のスペクトル吸収率



図3. 金フィッシュネット作製の手順



図4. リフトオフ前(電子線描画後)のSEM画像



図5. リフトオフ後のSEM画像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

 沖野 亮太(2019),金ナノグリッド電極/薄膜半導体/基板平滑電極構造熱光起電力電池に関する研究,東工大機械系修士論文.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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