利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT1039

利用課題名 / Title

金ナノメッシュの表面形態観察

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/Electron microscopy,蒸着・成膜/Evaporation and Deposition,高品質プロセス材料/ High quality process materials,ナノ粒子/ Nanoparticles,ナノワイヤー・ナノファイバー/ Nanowire/nanofiber


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

合田 圭介

所属名 / Affiliation

東京大学大学院理学系研究科化学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

北濱康孝

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

島本直伸,太田悦子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-855:高精細電子顕微鏡
UT-858:電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

電界紡糸法で作製したポリビニルアルコール(PVA)ナノメッシュの片側に金を蒸着した金ナノメッシュの表面状態の分析を行うために、東京大学の設備を利用して走査型電子顕微鏡(SEM)観察をおこなった。その結果、金蒸着側では鱗状の形態が観測された。一方、被蒸着側では平坦なPVAの表面が観測されたが、濡らしてPVAを取り除くと樋状(U型)の構造になることが観測された。金ナノメッシュは表面増強ラマン測定(SERS)に応用できる。

実験 / Experimental

まず、電界紡糸法でPVA水溶液からナノファイバーを作製して、それをドラム上に巻き取ることでPVAナノメッシュを得た。このPVAナノメッシュに、真空中で金を蒸着させることで金ナノメッシュを作製した。霧吹きで湿らせたシリコン基板上に、金ナノメッシュを貼付して乾燥させたものを試料とし、電子顕微鏡(JSM-6610LV)や高精細電子顕微鏡(HITACHI Regulus 8230)で、金蒸着側と被蒸着側の両面の表面形態を観測した。また、非蒸着側のSEM観測では乾燥したシリコン基板上の金ナノメッシュの周囲をカーボンテープで固定した状況でも、表面形態を観測した。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig. 1に金ナノメッシュのSEM画像を示す。Fig. 1(a)は金蒸着側の表面形態であり、金が鱗状に蒸着していることがわかる。一方、Fig. 1(b)は非蒸着側の表面形態であり、平滑な表面であることがわかる。これは金が蒸着されていないPVAナノファイバーが観測されていると考えられる。画面中央の暗く見えるやや細いファイバーは、奥側すなわち金蒸着側に近い位置にあると思われ、実際に明るく見える荒い表面形態をした金が縁に蒸着していることがわかる。Fig. 1(c)は濡らすことでPVAを溶かして取り除いた金ナノメッシュの非蒸着側のSEM画像である。PVAが消失することで樋状(U型)の金ナノ構造体になることがわかった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 SEM image of (a) the deposited side of the gold nanomesh, (b) the undeposited side of the gold nanomesh containing PVA, and (c) the undeposited side of the gold nanomesh after removing PVA.   


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[参考文献] L. Liu, P. M. Pancorbo, T.-H. Xiao, S. Noguchi, M. Marumi, H. Segawa, S. Karhadkar, J. G. de Pablo, K. Hiramatsu, Y. Kitahama, T. Itoh, J. Qu, K. Takei, K. Goda, Adv. Opt. Mater. 10, 2200054 (2022)
[謝辞] 当研究は以下の助成金も受けて行われた。MEXT Quantum Leap Flagship Program (JPMXS0120330644), UTokyo IPC, Mitsubishi UFJ Technology Development Foundation, JSPS Core-to-Core Program


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Yasutaka Kitahama, Place & Play SERS: sample collection and preparation-free surface-enhanced Raman spectroscopy, Analytical Methods, 15, 1028-1036(2023).
    DOI: 10.1039/D2AY02090D
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. “Dual-surface substrate for in situ wearable surface-enhanced Raman spectroscopy”, Photonics West 2023, 令和5年1月29日
  2. “切って、置いて、測るだけ:金ナノメッシュによる超簡便SERS”, 第70回応用物理学会春季講演会, 令和5年3月17日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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