利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT1037

利用課題名 / Title

超伝導転移端センサの開発

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

光学顕微鏡/Optical microscopy,リソグラフィ/Lithography,スパッタリング/Sputtering,EB,超伝導/ Superconductivity,量子コンピューター/ Quantum computer


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

高橋 浩之

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-800:クリーンドラフト潤沢超純水付
UT-711:LL式高密度汎用スパッタリング装置(2019)
UT-604:高速シリコン深掘りエッチング装置
UT-902:マニュアルウエッジボンダ―


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

超伝導転移端センサ(Transition Edge Sensor, TES)は、超伝導体薄膜を超伝導と常伝導の転移端にバイアスさせた状態で動作する、超高感度なマイクロカロリメータである。入射粒子のエネルギーによって生じる薄膜の微弱な温度上昇が、抵抗値の急激な上昇を生じ、それによるバイアス電流の変化が信号となる。TESはX線・ガンマ線・粒子線といった放射線から、可視光〜赤外に至る単一光子の計測が可能である。特に単一光子検出では、TESは光子数弁別特性と高い量子効率を有しており、光量子コンピューティングにおける有望な検出器として応用が期待されている。本課題では光子検出用のTESの極小化によってTESのエネルギー分解能の向上および高速化を試みた。

実験 / Experimental

本研究では有感領域を従来の12μm角から、3~4μm角にまで極小化したデバイスの開発を試みた。まず、レーザー直接描画装置DWL66+によって、有感領域のTESのパターン(3〜4μm角の領域)をフォトレジストに描画し、スパッタ装置iMillerによってチタン層を成膜し、研究室保有のスパッタ装置によりイリジウム層を成膜した。その後リフトオフ法によって、TESの有感領域となる形状を作製した。同様の方法でニオブを用いて電極を作製した。また、光ファイバのコアとTESが機械的に自動でアライメントされるように、シリコンウェハの形状を深堀エッチング装置MUC-21 ASE-Pegasusによってラケット形状に加工した。この結果、光ファイバの割スリーブにウェハが嵌合し、光ファイバのコアとTESの有感領域の高精度なアライメントが実現できた。作製した極小化TESは、希釈冷凍機を用いて極低温下に冷却し、TESを超伝導と常伝導の転移端にバイアスさせ、光を入射してその光応答を測定した。

結果と考察 / Results and Discussion

本研究では、3μm角の素子と、4μm角の素子を作製し、それぞれにレーザー光の照射を行って応答を観測した。その結果、3μm角および4μm角の素子で単一光子レベルの測定に成功した。また、4μm角素子では極小化による熱容量の削減によって、0.67eV程度と高いエネルギー分解能が得られた。今後はさらなる極小化による高分解能化・高速化を目指した開発を実施する。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は、科研費特別推進研究18H05207のサポートにより行われた。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Takeshi Jodoi, et al., "Development of 1 um transition edge sensors with Au-Ir bilayer," Applied Superconductivity Conference 2022, Honolulu (2022)
  2. Ryan Smith, et al., "Development of transition edge sensors for the detection of secondary electrons," Applied Superconductivity Conference 2022, Honolulu (2022)
  3. Yuki Mitsuya, et al., "Parallel segmentation of the sensitive area of optical transition edge sensor," Applied Superconductivity Conference 2022, Honolulu (2022)
  4. Takeshi Jodoi, et al., "Development of small transition edge sensor with Ir," 25th International Symposium on Superconductivity, Nagoya (2022)
  5. 上土井 猛, 他, "イリジウムを用いた極小ピクセル超伝導転移端センサの開発," 2022年 応用物理学会秋季学術講演会, 仙台 (2022)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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