利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.12】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT1031

利用課題名 / Title

絶縁材にポリマーを用いた低温ハイブリッドボンディングの実証

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

表面処理、形状・形態観察、研磨、接合、異種材料接合、断面観察,リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,スパッタリング/Sputtering,EB,高品質プロセス材料/ High quality process materials


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

壽慶 将也

所属名 / Affiliation

東レ株式会社、東京大学工学部三田研究室

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

三田 吉郎,島本 直伸,太田悦子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-911:精密フリップチップボンダー
UT-906:ブレードダイサー
UT-901:精密研磨装置
UT-853:簡易電子顕微鏡
UT-805:プラズマ表面改質装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

近年、高性能パッケージング技術の代表的手法の一つとして半導体チップを縦積みする3次元積層(3DIC)が挙げられる。その中でも特に重要な技術がチップ間のシリコンおよび金属配線の接合技術である。また昨今では半導体チップ自体の高性能化のため、チップ内の金属配線密度が求められており、微細な配線幅も合わせて要求される。そのため現在はマイクロバンプと呼ばれる25-100μm程度の微小なはんだバンプでチップ間を接続する方法が最も一般的な方法とされている。一方で、マイクロバンプによるはんだ接合は、より高性能な配線ピッチの短い半導体チップへの適用には困難となっている。 そこで25μm以下のより配線ピッチの短いチップの接合については、ウエハとチップの表面に形成した金属配線同士を直接接合させるハイブリッドボンディング(HB)と呼ばれる技術が提唱されており、特に一つのパッケージで異種チップを接合させるチップレット構造と組み合わせたChip to Wafer(C2W)-HBが次世代高密度実装技術として注目されている。  これまでHBの絶縁材料としてはSiO2等の無機材料が検討されてきたが、C2W-HBにおいては、主に2つの課題があるとされている。1つはチップ化のダイシング時に生じるシリコンダストをHB時に噛み込んでしまい、ボイドが生じること、もう1つはSiO2の接合に必要な熱処理が350℃程度と高温であるためパッケージへのダメージが大きいことであり、洗浄工程や表面改質方法の探索がなされている。  今回、我々は上記の課題解決手法として、絶縁材への樹脂ポリマーの適用によるダストの吸収および低温処理での接合の可能性について実験検証を行った。

実験 / Experimental

【実験方法】
実験工程としては以下の7工程を本来要するが、今回は一部作業を外注委託にて実施した。
①Cuパターン基板の作製(外注)、②樹脂材コーティング(東レ)、③CMPによる表面出し(外注/武田CR)、④ダイシングによるチップ切り出し(武田CR)、⑤プラズマ等による表面改質処理(武田CR)、⑥フリップチップボンディング(武田CR)、⑦アニール処理(東レ)
【評価方法】
・SEMによる断面観察(東レ/武田CR):アニール処理後の基板をダイサーにて割断し、クロスセクションポリッシャー(CP)の後にSEM観察した。
・表面改質プラズマ種による密着性への影響(東レ):ポリマーのみのチップおよび基板を作製し、表面改質処理としてアクアプラズマ、O2プラズマ、Arプラズマをそれぞれ実施し、最終的に得られたサンプルについてダイシェア試験機(東レ設備)にて密着強度を比較評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

HB後にダイサー⇒CPで加工したサンプルの断面SEM像をFig.1に示す。ポリマー/Cuの接合界面において、特にCu/Cuにおいて数十nm程度の空隙が見られた。一般的にポリマーの方がCuよりも線熱膨張係数が数倍近く大きいので、アニール時にポリマーの方が膨張してしまい、Cu-Cu間の空隙に繋がったと考えられる。
次に表面にCuパターンのない、ポリマーのみのチップを用いて、表面改質時の活性プラズマ種とボンディング後アニール前の密着力を比較評価した。(Table. 1) 表面処理したものと未処理のものを比較することで、表面処理により密着力が向上することが明らかとなった。また、特にH2Oで処理したときに密着力がO2やAr処理比でさらに向上した。 H2Oプラズマで処理することでO2やArと比較して、表面親水性の向上またはボンディングに寄与する官能基がより活性化状態となったと考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 HB後断面SEM像



Table. 1 活性プラズマ種と密着力


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:2件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

スマートフォン用ページで見る