利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.09】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT1015

利用課題名 / Title

マイクロ医療のための可視ガウシアン―トップハットビームコンバータ

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

メタサーフェス、回折光学素子,蒸着・成膜/Evaporation and Deposition,EB,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,電子顕微鏡/Electron microscopy,光学顕微鏡/Optical microscopy,メタマテリアルメタマテリアル/ Metamaterial


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

岩見 健太郎

所属名 / Affiliation

東京農工大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-503:超高速大面積電子線描画装置
UT-603:汎用高品位ICPエッチング装置
UT-855:高精細電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

通常使用されるガウシアンビームに比べて, 均一な照射強度を持つトップハットビームは, 光切断測距センサや光電センサの計測精度の向上に有効である. 入射ビームのガウシアン強度分布を均一強度に変換するGTBS (Gaussian to top-hat beam shaper)として, 主に屈折型光学素子と回折光学素子(DOE: Diffractive Optical Element)が普及している.これらは入射光源のわずかな強度分布の補正を行うための加工難度が高いことに加え, 前者は薄型化に限界があり, 後者は性能が入射光の偏光状態に依存しやすいといった特徴に対して課題がある.これらの課題に対し,メタサーフェス光学素子が入射光強度分布への許容性を確保できるのではないかと期待されている. これは誘電体のサブ波長構造で光を制御するメタサーフェスの配列設計次第で補正が容易であることや,構造単位体に軸対称構造を適用することで, 入射光の偏光方向に無依存な素子が製作可能な特徴を持つためである.本研究に関連する先行研究では,波長3 mmのサブミリ波の電波領域でGTBSメタサーフェスのシミュレーション結果が報告されている(1).現時点では実際に製作された報告例はなく,特に光センサで広く用いられる可視光域では透過特性の優れた材料の選択に加え,ナノレベルでの加工技術が要求されるため,製作実現は容易ではない.そこで本研究では, 可視光域に高い透過性を持つ窒化シリコン(SiN)を用いることで, 可視光で動作するGTBSメタサーフェスが実現可能であることを実験的に実証することを目的とした.

実験 / Experimental

窒化シリコン(SiN)が1500 nm製膜されたガラス基板に, ZEP520A-7を塗布し, F-7000Sでマスクパターンを描画した. 次にクロム(Cr)を蒸着し, リフトオフ後にNE-550でICP-RIEを行った後, ウェットエッチングによりCrを除去して完成とした. 製作したサンプルに波長532 nmのレーザを入射させ, 出射光の強度分布をビームプロファイラで測定した. 

結果と考察 / Results and Discussion

完成したサンプルおよびSEM画像をFig. 1, Fig. 2に示す. ビームプロファイラに照射された光パターンおよび強度分布をFig. 3(a), (b)に示す. 1次光の強度分布は, 均一強度かつ設計に近い長さを持つライン形状となっており, サンプルの高精度なトップハットビーム整形機能を確認した. 1次回折効率は16.3 % だった. また, 意図せず生じた0次光, -1次光も観察された. 1次回折効率の悪化および0次光・-1次光の発生要因として, サンプル表面の微細構造における加工精度の低さが挙げられる. Fig. 2のように, 単位ナノ構造それぞれがテーパ状にエッチング加工されていることが判明したからである. 今後はサンプルの性能向上に向け, ナノ構造の垂直性を保てるようなエッチングレシピの条件出しが必要である. 

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 製作したメタサーフェス



Fig.  2 メタサーフェスのSEM画像(45°斜め観察)



Fig3 (a) 投影面におけるメタサーフェスの透過光パターン, (b) 1次光強度分布


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献[1] A. Abbaszadeh, M. Ahmadi-Boroujeni, A. Tehranian, Optics Communication 462 (2020), 125313 1-9謝辞本研究は日本学術振興会科研費21H01781および22K04894, 文部科学省「先端材料・ナノテクノロジー研究基盤(ARIM)」(助成番号JPMXP1222UT1059)の一部助成を受けて実施しました.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 山田 遼太, 池沢 聡, 岩見 健太郎, "窒化シリコンを用いた可視光用ガウシアン-トップハット型ビーム整形メタサーフェスレンズ",第39回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム, 2022 年 11 月 16 日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る