利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT1009

利用課題名 / Title

ウエアラブルデバイスのためのエレクトレット環境発電の創成

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

環境発電、エネルギーハーベスト,リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,スパッタリング/Sputtering,MEMSデバイス/ MEMS device,ウエアラブルデバイス/ Wearable device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

鈴木 雄二

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-500:高速大面積電子線描画装置
UT-506:枚葉式ZEP520自動現像装置
UT-604:高速シリコン深掘りエッチング装置
UT-900:ステルスダイサー
UT-906:ブレードダイサー


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 日常の健康管理、AR・VR、セキュリティやスポーツなどに用いられるウエアラブルデバイスへの関心が日々高まっており、それらを電池なし・メンテナンスなしで動作させる環境発電(Energy Harvesting)技術への期待もますます高まっている。本研究は超低周波数・6軸運動を特徴とする日常的な人体動作から高出力発電が可能なエレクトレット発電機の社会実装に向けて非線形電源管理回路、皮膚貼り付け型発電デバイス、発電用液晶材料について開発を行なった。
 非線形電力管理回路については、回転型エレクトレット発電機のためのSECE回路を開発した。整流効率向上とDC発電出力増大のために、新規な2段構成の発電機設計を提案した。また、皮膚に直接貼り付けるウェアラブルセンサの自立電源としてエレクトレットを用いた皮膚貼り付け型エレクトレット発電デバイスを提案・開発した。さらに、発電用液晶を用いた高出力エレクトレット発電のために、発電中の液晶分子の光学計測が可能なAZO櫛歯電極と液晶・グラフェン分散系の流動時の誘電特性計測用シリコンマイクロ流路を製作した。

実験 / Experimental

 エレクトレット発電機の発電用櫛歯電極のリソグラフィ工程は超高速電子ビーム直接描画フォトマスク作製装置(F5112+VD01)とマスク・ウエーハ自動現像装置群(ZEP520 Auto Developing Machine)によって製作したフォトマスクを用いて行った。LL式高密度汎用スパッタリング装置(CFS-4EP-LL !-Miller)を用いて、皮膚貼り付け型エレクトレット発電デバイスの電極形成を行った。マニュアルウエッジボンダ―(7476D)を用いて、一部の電極パッドへのワイヤボンディングを行った。また、シリコンマイクロ流路は超高速シリコン深堀りイオンエッチング装置(MUC-21 ASE-Pegasus)によってドライエッチングを行った後、ダイシングソー(DISCO DAD3650)とステルスダイサー(DFL7340(Si用))によってチップ化した。60W CO2 NC レーザーカッター(VLS4.60)を用いてシリコンマイクロ流路用の樹脂基板カットを行った。さらに、高精細電子顕微鏡(Regulus 8230)と電子顕微鏡(JSM-6610LV Oxford X-max50 + Energy 250)を用いてシリコンマイクロ流路の微細構造の観察を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

 電極上にポリマーエレクトレット材料CYTOPを成膜した発電機回転子と、制御部と発電部で分割された電極を有する発電機固定子をFig. 1a,bにそれぞれ示す。Fig.1cは、回転子電極の拡大図である。提案するSECE回路の低い電力損失によって、従来の電力管理回路に比べて高出力な発電を得た。  Fig. 2に試作した皮膚貼り付け型MEMSエレクトレット環境発電デバイスを示す[1]。新たに開発したソフトリソグラフィプロセスによって、高伸縮性のEcoflex基板上への電極・エレクトレットパターニングに成功した。また、軟X線荷電を用いて荷電することでエレクトレット表面への高い表面電荷密度を実現した。  Fig. 3に液晶振動発電用AZO電極を示す。さらに、液晶・グラフェン分散系の発電特性実験のために、高アスペクト比のシリコンマイクロ流路を試作した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1. Fabricated rotational electret EH. (a) Rotor, (b) stator with dual-stage design, and (c) magnified view of the stator.



Fig. 2 MEMS stretchable energy harvester prototype [1] (a) Overall view, (b) Magnified view.



Fig. 3 Fabricated interdigitated electrodes for liquid crystal enhanced electret energy harvesting.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

共同研究者:Prof. Adrien Badel, SYMME Laboratory, Université Savoie Mont Blanc, France
本研究の一部はJST CREST (JPMJCR15Q3 and JPMJCR19Q1) の助成を受けた。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Masaya Takebe, Stretchable Electret Energy Harvester Using The Fringe Field, 2022 21st International Conference on Micro and Nanotechnology for Power Generation and Energy Conversion Applications (PowerMEMS), 8, 188-191(2022).
    DOI: https://doi.org/10.1109/PowerMEMS56853.2022.10007601
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Takebe, M., Miyoshi, T., and Suzuki, Y., 21th Int. Conf. on Micro and Nanotechnology for Power Generation and Energy Conversion Applications (PowerMEMS 2022), Salt Lake City, PT-10f (2022).
  2. 武部 将弥, 三好 智也, 鈴木 雄二,第13回マイクロ・ナノ工学シンポジウム, 徳島, 15P2-PN-20, 2022年11月14日-11月16日. 【日本機械学会・マイクロナノ工学部門・若手優秀講演表彰】
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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