【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2024.07.03】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22QS0115
利用課題名 / Title
鉄鋼材料の高温圧縮・等温保持過程の X 線その場観測
利用した実施機関 / Support Institute
量子科学技術研究開発機構 / QST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
鉄鋼材料,圧縮,転位密度,相変態,X線回折/X-ray diffraction,放射光/Synchrotron radiation
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
米村 光治
所属名 / Affiliation
日本製鉄株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
菅野聡,山口樹,豊川秀訓
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
齋藤寛之,城鮎美
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
鉄鋼材料のプロセスで重要な圧縮変形させながら高エネルギーX線回折する技術確立のため、QST高温高圧プレス装置を圧縮変形へ適用し、エネルギー閾値型2次元CdTe検出器によって、炭素鋼の高温相であるγ相の圧縮および等温保持過程をその場観測することに成功した。
実験 / Experimental
【利用した装置】:高温高圧プレス装置
【実験方法】
70 keVの単色光を試験片に入射し高温高圧プレス装置で加圧しながら、エネルギー閾値型2次元CdTe検出器で二次元X線回折パターンの変化を観測した1)。独自設計の加熱用アンビルと放射温度計を用いたPID制御で試験片を熱間圧縮、等温保持した。変形部の形状は、70 keVのX線侵入深さに加えて圧縮部のひずみの面内分布を低減するために2)、1.5 mmφ×2.0 mmLとした。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig.1に高温・高圧プレス装置で実施した加工・熱処理プロセス(TMCP)の一例を示す。実験は、900℃まで加熱後、700℃に降温後、熱間圧縮し温度保持後冷却した。ひずみ速度は0.4/sである。Fig.2にFig.1に示したTMCPでの二次元回折像の抜粋を示す。この一貫したプロセスの二次元回折像の変化の観測に成功した。初期材はα相である(a)。昇温831℃では逆変態が生じ(b)、900℃ではγ単相となった(c)、700℃まで降温後もγ単相であり、つづく圧縮で、高温γ相の回折がスポット状(d)からリング状(e)に変化し組織微細化の過程が明瞭に観測された。更に等温保持ではリングが先鋭化し(g→h)、冷却過程で相変態し再度α相が現れた。本研究で高温相の圧縮その場観測に成功し、今後、製造プロセスで生じる諸現象を詳細な転位密度解析でミクロ組織の観点で理解を深化させる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 Thermo-mechanical controlled process (TMCP) using high-temperature, high-pressure press equipment
Fig.2 Two-dimensional time-resolved X-ray diffraction pattern during TMCP
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・参考文献
1) M. Yonemura et al., SPring-8/SACLA利用研究成果集 10, (2022) 215-219.
2) I. Yamaguchi and M. Yonemura, Metal. Mater. Trans. 52A, (2021), 3517-3529.
・謝辞
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の齋藤寛之様、城鮎美様のご支援により実験が遂行されました。心より感謝申し上げます。
菅野聡、米村光治、山口樹、豊川秀訓、齋藤寛之、”鉄鋼材料の圧縮過程のX線その場観測”、日本鉄鋼協会2024年春季(第187回)講演大会(東京)、令和6年3月15日
菅野聡、米村光治、山口樹、豊川秀訓、齋藤寛之、”鉄鋼材料の圧縮過程のX線その場観察”、SPring-8/SACLA利用研究成果集 (SPring-8/SACLA Research Report), 12 (2024) 45-49、DOI:10.18957/rr.12.1.45
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 米村光治、山口樹、山村実早保、豊川秀訓、佐治超爾、齋藤寛之、”鉄鋼材料の圧縮過程の X 線その場観察技術の開発”、SPring-8/SACLA利用研究成果集 (SPring-8/SACLA Research Report), 10 (2022) 215-219、DOI:10.18957/rr.10.2.215
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件