【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2024.07.02】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22QS0114
利用課題名 / Title
酸化物イオン拡散を利用した酸素欠損 BaTiO3-δ のその場観察
利用した実施機関 / Support Institute
量子科学技術研究開発機構 / QST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
X線回折/X-ray diffraction,放射光/Synchrotron radiation,ワイドギャップ半導体/ Wide gap semiconductor,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
藤岡 正弥
所属名 / Affiliation
北海道大学電子科学研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
岩崎秀,星野海大
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
齋藤寛之,中平夕貴,内海伶那
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ペロブスカイト酸化物をはじめ、多くに酸化物は、酸素欠損の導入により物性が大きく変化することが知られている。そのため、酸化物中の酸素欠損量を幅広く制御することができれば、多様な機能性材料を創出できると期待される。本研究ではペロブスカイト酸化物BaTiO3(BTO)を対象に、高圧下の閉鎖系で酸化物イオンを抜き出すことで、多量の酸素欠損を導入する。固体間での酸化物イオンの拡散をその場観察し、圧力、温度、セルの内部構成を吟味し、酸素欠損導入に有効な条件を見出した。得られた試料は、北海道大学の設備を利用して結晶構造、電子物性の変化を評価した。
実験 / Experimental
【利用した装置】:高温高圧プレス装置
【実験方法】
BL14B1にて、圧力セル内部にBTOと酸素ゲッターを接触させ、1 GPaおよび3 GPaにおいて、温度を変化における各物質の結晶構造の変化を調査した。これにより得られた試料の結晶構造および電子物性を北海道大学にて調査した。
結果と考察 / Results and Discussion
1 GPaおよび3 GPaにおいて、BTOから酸化物イオンが拡散し始める温度を明らかにした。低圧高温下でより多くの酸素欠損が導入可能であるが、高温では試料の分解が確認された。また、通常のBTOは室温で正方晶であるのに対して、酸素欠損導入後は立方晶に変化しており、高圧処理により対称性が上がったものと考えられる。さらに、酸素欠損量に応じて電気抵抗率の減少が確認された。
原理的に本手法はBTOに限らず、酸化物イオンが弱結合している種々の酸化物に有効であると期待されるため、今後さらに汎用的な利用を検討している。また、欠損サイトに異なるアニオンを導入する研究にも展開する。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 藤岡正弥, “拡散を利用した準安定相の創出” NanoFrontier Materials Conference 2022, 令和4年12月28日.
- 藤岡正弥, “異方的なイオン拡散を利用した無機合成” 第27回若手研究者討論会,第4回先端ウェットプロセス技術研究会,第3回関西・中国支部講演会,第11回マテリアルズ・インフォマティクス基礎研究会,第4回電池・レーザー材料研究会 横断合同研究会「社会の中の物質科学」, 令和4年12月5日.
- Masaya Fujioka, "Development of High-pressure Diffusion Control Method for Synthesizing Metastable Materials", The 3rd Materials Research Meeting(MRM2023)/The 24t h IUMRS International Conference in Asia(IUMRS-ICA2023)(Kyoto), 令和5年12月11日
- Masaya Fujioka, "Inorganic synthesis utilizing anisotropic ion diffusion Ⅱ", 日本材料科学会第28回若手研究者討論会(横浜市、紀の川市), 令和5年11月24日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件