利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2024.07.01】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22QS0008

利用課題名 / Title

高圧合成技術を活用した熱化学式水素圧縮機用新規水素吸蔵合金の水素放出挙動の観察2

利用した実施機関 / Support Institute

量子科学技術研究開発機構 / QST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

水素昇圧,水素吸蔵合金,高圧合成,X線回折/X-ray diffraction,放射光/Synchrotron radiation,水素貯蔵/ Hydrogen storage,エネルギー貯蔵/ Energy storage


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

榊 浩司

所属名 / Affiliation

産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

Véronique Charbonnier,Hyunjeong Kim,浅野耕太

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

齋藤寛之,中平夕貴,内海伶那

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

QS-141:高温高圧プレス装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本実験では産総研の水素吸蔵合金に対する材料設計技術と量研が保有する非常に特殊な超高圧雰囲気下でのその場観察技術を組み合わせ、産総研提案の新規熱化学式水素圧縮機に適した特性(水素吸蔵圧力:室温で20~30 MPa、放出圧力:80℃で80 MPa)を有する水素吸蔵合金の材料探索および反応に対する熱力学特性評価を結晶構造の観点から実施する。そこで、今回はC14ラーベス相のTi0.9V0.3MnNi0.8とC15ラーベス相のZrFeNiに対して超高圧雰囲気下でのその場観察を125℃で実施し、水素吸蔵・放出反応の温度・圧力条件を評価した。

実験 / Experimental

【利用した装置】:高温高圧プレス装置
【実験方法】
実験はSpring-8のBL14B1の高温・高圧プレス装置を用いて実施した。粉末試料を水素源(NH3BH3)とともに試料セルに充填し、高圧実験セットアップに設置した。試料セルを室温で加圧後、200℃に加熱することで水素を放出させた。試料の水素吸蔵反応が進行したことを確認後、所定の温度で脱圧しながらⅩ線回折プロファイルの測定を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

前回のビームタイムにおいて、Ti0.9V0.3MnNi0.8を高圧合成セットアップに充填して水素化を行い、150℃以上の温度で水素を放出する過程の観察に成功した。今回は2相共存状態を明瞭にとらえることを目的に150℃以下での実験に取り組んだ。前回同様に、水素源としてNH3BH3を、また、圧力を正確に求めるため、圧力マーカーとしてNaClを試料セルに充填した。水素化は200℃で1~2 GPaの圧力条件下で実施した。水素化直後の試料セルの膨張量を観察することで、完全に水素化反応が起こったことを確認した。その後、125℃に温度を変更後、減圧過程におけるⅩ線回折パターンを取得した。図(a)にはTi0.9V0.3MnNi0.8の125℃で行った脱圧過程におけるⅩ線回折パターンの変化を示す。150℃以上の温度域で実験した際は明瞭な2相反応を示す回折パターンが得られなかったが、図(a)の赤丸、黒線で示したところで2相共存を示す2組の回折パターンが得られた。
同様の実験をC15ラーベス合金であるZrFeNiについても同様の実験を行った結果を図(b)に示す。この材料でも水素化による体積膨張を確認した。この合金の構造はC15構造のため、XRDピークの数が少なく、減圧過程において明確に2相共存を確認できた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Ti0.9V0.3MnNi0.8(a)およびZrFeNi(b)の125℃での水素放出挙動の観察。赤丸、黒線でのハイライトは2相共存を示す。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. V. Charbonnier, Hydrogenation behavior of a C14 Laves phase under ultra-high hydrogen pressure, Journal of Alloys and Compounds, 965, 171348(2023).
    DOI: 10.1016/j.jallcom.2023.171348
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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