【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.09】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22QS0007
利用課題名 / Title
高圧下での新規La-Ni 水素化物の形成過程の観測
利用した実施機関 / Support Institute
量子科学技術研究開発機構 / QST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
水素化物,結晶構造,X線回折/X-ray diffraction,放射光/Synchrotron radiation,水素貯蔵/ Hydrogen storage
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
佐藤 豊人
所属名 / Affiliation
芝浦工業大学工学部機械機能工学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
齋藤寛之,中平夕貴
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
水素社会の構築には、高密度に水素を貯蔵する材料(水素貯蔵材料)の開発が不可欠である。最近、水素貯蔵材料LaNi5の水素吸蔵反応を1 GPa以上で観測した結果、LaNi5は、室温、6 GPaで水素を2.1 mass%まで吸蔵した後、水素化ニッケルと新規La-Ni水素化物へ分解することが明らかになった。また、新規La-Ni水素化物は、LaNi5よりも高密度に水素を含有することが予想された。そこで、本研究では、新規La-Ni水素化物の合成、及びその形成機構の解明を目的とし、新規La-Ni水素化物の組成に近い金属間化合物La2Ni3に着目して、9 GPa、室温から1173 Kまでの水素吸蔵過程を放射光X線回折で直接観測した。その結果、9 GPa、873 Kで目的の新規La-Ni水素化物の形成が観測された。新規水素化物相は、LaNi2Hxとなることが示唆された。
実験 / Experimental
【利用した装置】:高温高圧プレス装置
【実験方法】
試料合成
La2Ni3は、La小片(シグマアルドリッチ製 99.9%)とNi小片(レアメタリック製 99.999%)を2:3(モル比)で混合して、東北大学金属材料研究所水素機能材料工学研究部門が有する真空アーク溶解炉(日新技研製)を用いて合成された。合成された試料は、芝浦工業大学が所有する粉末X線回折装置(Rigaku SmartLab、Cu管球)を用いて評価された。
高温高圧実験
高温高圧実験は、下記の流れで実施された。
1. 水素供給源となる内部水素源(BH3NH3)と試料(La2Ni3)をNaClカプセルに同封
2. 1のNaClカプセルを高圧実験用セルに挿入
3. 2の高圧実験用セルをBL14B1に設置された高圧プレスにセット
4. 最大9 GPaまで加圧し、最大1173 Kまで昇温された
5. 加圧状態で室温まで冷却し、その後、減圧
6. 4と5における一連の反応を放射光X線回折でその場観察
結果と考察 / Results and Discussion
Fig. 1にLa2Ni3を9 GPa、873 Kで水素吸蔵させた後のX線回折パターンを示す。観測された主なブラッグピークは、六方晶(a = 4.51 Å, c = 8.68 Å)で指数付けされた。得られた格子定数は、先行研究で得られた新規La-Ni水素化物の格子定数と一致した。解析の結果、新規水素化物相は、LaNi2Hxとなることが示唆された。更に、得られた格子体積と水素を含有しないLaNi2の格子体積の比較からLaNi2Hxは、約2.7 mass%の水素を含有することが予想された。今後は、重水素化物の合成し、中性子回折実験からLaNi2Hxの水素位置を含む結晶構造を解明する予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 X-ray diffraction patterns (bottom) before and (top) after hydrogen absorption reaction of La2Ni3 in 9 GPa at 873 K
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
T. Sato, H. Saitoh, R. Utsumi, J. Ito, Y. Nakahira, K. Obana, S. Takagi, S. Orimo, Molecules, 28, 1256, (2023).
共同研究者:東北大学 材料科学高等研究所 折茂慎一 教授、東北大学 金属材料研究所 髙木成幸 准教授
外部競争的資金:科研費 基盤研究(B)
支援機関:東北大学金属材料研究所 共同研究(202106-RDKGE-0102)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Toyoto Sato, Hydrogen Absorption Reactions of Hydrogen Storage Alloy LaNi5 under High Pressure, Molecules, 28, 1256(2023).
DOI: 10.3390/molecules28031256
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件