利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.04.24】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22QS0002

利用課題名 / Title

高水素圧力下におけるEu水素化物の電子状態分析II

利用した実施機関 / Support Institute

量子科学技術研究開発機構 / QST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

高圧力,水素化物,電子状態分析,メスバウアー分光,放射光/Synchrotron radiation,水素貯蔵


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

瀬戸 誠

所属名 / Affiliation

京都大学複合原子力科学研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

増田亮,平尾直久,北尾真司,田嶋寛介,山下拓之

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

三井隆也,藤原孝将

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

QS-111:放射光メスバウアー分光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

超高水素圧力下でのEu水素化過程の研究として、放射光吸収メスバウアー分光法を用いて、第I相水素化物の範囲でのメスバウアーアイソマーシフトと体積の関係を調べた。その結果、この水素圧範囲における水素化物では、圧力増大に起因する水素化量変化がほぼ無いことが明らかとなった。

実験 / Experimental

【利用した装置】:放射光メスバウアー分光装置
【実験方法】
BL11XUの標準分光器(Si 1 1 1 x Si 1 1 1)により、Eu-151同位体の核共鳴励起エネルギー21.5 keVのX線を分光する。その下流に中分解能分光器(Si 3 3 3 x Si 3 3 3)を高次光抑制可能な角度で設置し、それによって分光したX線をスリットでビームサイズを高圧セルの試料サイズ程度まで制限し、冷却チェンバー内の高圧セル中で加圧されたEu試料に照射する。透過X線は、下流側に配置した基準となる散乱体試料(核共鳴エネルギー基準物質)EuF3に照射された。散乱体試料は速度制御装置と直結されており、ドップラー効果を通じて核共鳴励起エネルギーを相対的にμeV程度のエネルギーレンジで走査することで透過X線のエネルギープロファイルを解析した。これにより、高水素圧力下のEu水素化物に対してEu-151メスバウアースペクトルの圧力依存性測定を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig. 1にEu水素化物のメスバウアースペクトルの例を示す。本測定結果とこれまでの測定から得られたアイソマーシフトと体積の逆数との関係を示す。結晶構造が同一で水素化量に変化が無い場合には、アイソマーシフトは電荷密度、すなわち体積の逆数と1次式の関係になるものと予想され、ばらつきは大きいもののこの関係式からの顕著なずれは見られなかった。また、水素化量が変化しうる水素圧媒体中のEu金属と水素化量が変化しない不活性圧媒体中のEuH2との比較においても、両者に大きな差異は見られなかった。これらのことから、この圧力範囲においては水素化量の変化はあったとしてもわずかであることが示唆される。本結果は、今後の温度や圧力を制御した実験において、体積変化によるアイソマーシフトへの影響を評価するために活用される予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Eu水素化物のメスバウアースペクトル



Fig. 2 Eu水素化物のアイソマーシフトとEuH2体積の逆数との関係。塗りつぶし点が本実験。内抜き点は過去文献。直線は各データの線形近似曲線。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・量子科学技術研究開発機構の三井隆也上席研究員および藤原孝将研究員に感謝いたします。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Ryo Masuda, Energy domain synchrotron-radiation-based Mössbauer spectroscopy of EuH2 under a few GPa pressure, Hyperfine Interactions, 244, (2023).
    DOI: 10.1007/s10751-022-01815-0
  2. Ryo Masuda, 161Dy synchrotron-radiation-based Mössbauer absorption spectroscopy, Hyperfine Interactions, 243, (2022).
    DOI: 10.1007/s10751-022-01802-5
  3. S. Kitao, Development of Time- and Energy-Resolved Synchrotron-Radiation-Based Mössbauer Spectroscopy, Journal of Physics: Conference Series, 2380, 012136(2022).
    DOI: 10.1088/1742-6596/2380/1/012136
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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