利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.30】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT5025

利用課題名 / Title

溶液中高速AFM像の質に探針が与える影響の評価―角度における差異の検証―

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials

キーワード / Keywords

走査プローブ顕微鏡/Scanning probe microscopy,リソグラフィ/Lithography,生体イメージング/ In vivo imaging,ナノワイヤー・ナノファイバー/ Nanowire/nanofiber


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

伊藤 大直

所属名 / Affiliation

株式会社生体分子計測研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-504:リアル表面プローブ顕微鏡(RSPM)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

高速AFMは、従来型のAFMと同様に、振動させたカンチレバーの先端にある探針が試料表面を走査することにより像を取得する。カンチレバーと試料間に形成される空間にはバルク状態の水分子が存在しており、カンチレバーを振動させると水分子の粘性抵抗によってプローブや試料に対して好ましくない振動が発生する。これらの現象(スクイーズフィルム効果)は観察試料を低速で走査する従来型AFMであれば無視できる現象であったものの、観察試料を高速で走査する場合には、影響が顕在化すると考えられる。しかしながら、高速AFMは比較的新しい技術であり、スクイーズフィルム効果による像への影響はほとんど研究されてこなかった。本研究では、先の研究で確立した角度制御EBDプローブでAFM較正基板の大気中イメージングを実施し、角度制御EBDプローブの性能評価を実施した。

実験 / Experimental

・較正基板 産業技術総合研究所物質計測標準部門が開発した探針形状検査用パターン及びスキャナ較正用基板TGQ1(NT-MDT)の表面形状を測定した。・AFMプローブ HQ:CSC38(MikroMasch)をSEMチャンバー内に13°傾けて固定し、EBD法により探針を形成したカンチレバーをプローブとして使用した。・AFM  Dimention Icon(Bruker)を使用してタッピングモードで測定を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

角度制御EBDプローブの電子顕微鏡像を図Aに示す。EBDプローブはカンチレバーの先端に13°の角度で形成されており、先端形状も良好であることを確認した(図B)。次に当該プローブを用いて大気中条件下でAFMイメージングを行った。図Cは探針形状検査用パターンのAFM像を示している。本パターンは幅の異なるトレンチを有する基板であるが、図Cでは全種類のトレンチが明瞭に解像されている。このことは、当該方法で作製した探針がナノメートルスケールの先端径と良好なアスペクト比を有することを示している。図Dはスキャナ較正用基板のAFM像を示している。本較正用基板は直方体の立体パターンを有する基板であるが、図Dでは歪みの無い垂直な立方体が解像されている。このことは、当該方法で作製した探針の先端が線対称に近い形状を有することを示している。以上より、角度を制御したプローブは大気中のAFMイメージングに利用可能な品質であることが明らかになった。今後は溶液中のイメージングにより、角度制御EBDプローブの品質評価を実施したい。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


A:大気中AFMカンチレバーに形成した角度制御EBDプローブ B:角度制御EBDプローブの先端形状 C:探針検査用パターンのAFM像 D:スキャナ較正基板のAFM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

井藤浩志博士(物質計測標準研究部門)による測定・探針作成に関する助言に感謝いたします。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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