利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.06.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT5015

利用課題名 / Title

実験と計算で比較したベータ石英結晶のバルク陽電子消滅寿命

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

PALS, beta-quartz, Bulk lifetime, First-principles calculation


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

北浦 守

所属名 / Affiliation

山形大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

渡邊 真太(東京工業大学)

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

満汐 孝治(産業技術総合研究所)

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-501:陽電子プローブマイクロアナライザー(PPMA)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

陽電子消滅寿命分光(以降PALSと呼ぶ)はガラス中の空孔や空隙の解析に古くから用いられてきた。その解析ではオルソポジトロニウムの消滅寿命を元に半経験的に知られるTao-Eldrupの式[S. J. Tao, J. Chem. Phys. 56, 5499 (1972), M. Eldrup et al., Chem. Phys. 63, 51 (1981)]を使って空孔や空隙のサイズを概ね知ることができる。しかし、その起源を探るのは容易ではない。一方、結晶の場合には陽電子消滅寿命を基に第一原理計算によって空孔や空隙の起源を探り、その結果を基にサイズを知ることができる。この手法が適用可能かどうかは、バルク状態での陽電子消滅寿命(以降、バルク寿命と呼ぶ)が実験と理論計算でまず一致するかどうかが試金石となる。実際に、この方法で光学材料に潜む空孔型格子欠陥を特定して非化学両論組成が欠陥生成の原因であることを解き明かしてきた[M. Kitaura et al. Opt. Mater: X 14, 100156 (2022)]。石英の結晶とガラスでの構造の違いを捉えるためには、両者のバルク寿命に含まれる情報も利用できるはずである。本研究ではベータ石英結晶のバルク寿命を実験と理論計算で決定して比較した。

実験 / Experimental

実験にはベータ石英結晶を用いた。ベータ石英結晶のPALSスペクトルを測定した。測定時の時間分解能は200 psで、300万カウントになるまで積算した。陽電子線源や装置に由来する応答関数を決定するためとバックグランドを決定するためにステンレス標準試料のPALSスペクトルも測定した。バルク寿命の計算は第一原理計算プログラムABINITを用いて行った。CIFデータを初期構造として構造最適化を行った後、緩和構造においてバルク状態での陽電子消滅確率を算出し、そのバルク寿命を陽電子消滅寿命とした。交換相関相互作用にはGGAとLDAを採用した。

結果と考察 / Results and Discussion

ベータ石英結晶のPALSスペクトルは3つの指数関数の和でよく再現された。それらの寿命値(相対強度)は156 ps(27.8%)、305 ps(57%)、615 ps(15.2%)であった。ベータ石英結晶のPALS測定の結果を示した文献を見つけることはできなかった。一方、文献[A. Bisi et al.: Nuovo Cimento 10, 1069 (1988)] によれば、アルファ石英結晶の寿命値(相対強度)は140 ps(18%)、270 ps(69%)、490 ps(13%)であった。Three state trapping modelを想定して得られた結果からバルク寿命を算出すると256 psであった。理論計算で決定したバルク寿命はGGAでは292 psで、LDAでは246 psであった。後者の方が実験結果をよく再現した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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