利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT5013

利用課題名 / Title

シリコン中にイオン照射で形成されたナノボイドの分析

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

イオン注入, ゲッタリング, シリコン, 高純度


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

木野村 淳

所属名 / Affiliation

京都大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

廣江俊真(京都大学)

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

満汐孝治(産業技術総合研究所)

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-501:陽電子プローブマイクロアナライザー(PPMA)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

SiにHイオンを高照射量で照射した後、熱処理するとHイオンの飛程付近に、サブナノメートルからナノメートルサイズのボイドが生成されることが知られている。このナノサイズのボイド(ナノボイド)は、適切な熱処理を行うとSi中に含まれるCuやFeなどの金属不純物を捕捉(ゲッタリング)することが可能であり、半導体デバイス作成工程における不純物除去技術としてその応用が研究された。対象となる金属不純物は拡散速度が大きく比較的低温で移動できるため、従来は1000 ℃未満の温度域を対象とする研究が行われた。本研究では、高純度Si層のエピタキシャル成長時のO原子のゲッタリング効果について調べるため、前段階としてエピタキシャル成長が行われる1000 ℃以上の温度域でのナノボイドの安定性について評価した。

実験 / Experimental

CZ製法及びFZ製法によるSiウエハから切り出したSi試料に対し、50 keV H2+を1.5 × 1016 ions/cm2照射した。その後、真空中で900、1000、1100 ℃の温度で1時間のアニールを行った。未照射、照射のみ、照射とアニールの3 種類の試料に対して、低速陽電子ビームを用いたドップラー拡がり測定と陽電子寿命測定を行った。一部の試料に対しラザフォード後方散乱チャネリング測定を行った。このうち陽電子寿命測定をARIMの施設を利用して実施した。

結果と考察 / Results and Discussion

各試料のドップラー拡がり測定を行ったところ、照射のみの試料、照射とアニールを行なった試料のS パラメータが未照射試料に比べてすべての温度で有意に増加し、H照射により空孔型欠陥が生成されたと考えられる。Sパラメータのエネルギー依存性(S-E曲線)のピークに対応するエネルギーとして6 keVを選び、このエネルギーで陽電子寿命測定を行った。1試料あたり1 Mcountsのイベントを測定した。標準試料のYSZの測定結果から得られるバックグラウンド信号の形状を参考にしながら、H照射試料のスペクトル解析を2成分分解により行った。第1成分は0.22 ns前後もしくはそれよりも短い値を示し、主にバルク中の自由消滅に対応する寿命値と考えられる。第2成分に関しては、照射のみの試料から得られた約0.3 nsの値は複空孔の寿命値に相当し、照射後アニールを行った試料から得られた0.4 ns以上の値は、10個以上の空孔からなる空孔集合体に対応するものと考えられる。CZ試料とFZ試料間では900℃アニールの試料を除き、得られた陽電子寿命値に大きな差は見られなかった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 廣江俊真他、専門研究会「陽電子科学とその理工学への応用」、2022年12月9-10日、京都大学複合原子力科学研究所
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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