利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT0267

利用課題名 / Title

原子層堆積法によるRu薄膜の形成

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

Ruプリカーサ


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

内田 紀行

所属名 / Affiliation

産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-031:原子層堆積装置_1[FlexAL]


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 本課題は、NPFに導入された新規Ruプリカーサを用いて、ALD成膜条件を最適化し、成膜プロセスを確立することを目的に研究を実施した。

実験 / Experimental

 原子層堆積装置(【NPF031】FlexAL)内で、Si基板(4インチφ)を酸素プラズマで表面処理し、新規導入されたRuプリカーサを用いてALDプロセスを行った。
 基板ステージ温度は150-230℃、Arを100sccmキャリアガスとして流しながら(ガス圧力80 mTorr)、プリカーサのドーズ時間は、1.5秒の3条件、10秒のArパージ(100sccm)を経て、反応ガスとしてO2ガスを10秒60sccmでAr100sccmをキャリアガスと共に流した。その後、反応ガスのパージ用にArガス100sccmを10秒流した。以上を1サイクルとして、20-150サイクルの成膜を行い、X線光電子分光(XPS)観察により成膜状態を観察した。

結果と考察 / Results and Discussion

 昨年度までの研究で、エリプソメトリによる膜厚測定とその解析の結果、20サイクル程度の成膜インキュベーションタイムがあることが判明しており、本年度は、インキュベーションタイム中の吸着状態について、XPSを用いて、Ruプリカーサの結合状態を調べた。
 成膜温度を150、170、180、190、200、210、220、230℃で10、20、50、100、150サイクル毎に、XPSに搬送し表面状態の確認を行った。150、170℃では、Ruの成膜を示すRuのシグナルは観測されず、180℃では、いずれの温度においても、20サイクルを超えた50サイクルから明確な成膜が確認された。このプリカーサのRu成膜最低温度は、180℃であることがわかる。また、180℃以上で20サイクル以下と50以上でのRuの結合状態について、Ru3dピークの解析を行った。20サイクル以下の場合、反応ガスであるO2を導入したものの、Ruはリガンドが残ったプリカーサ分子、もしくは一部リガンドが外れた状態で表面に吸着しており、50サイクルを超えると、Ru―Ru結合形成が優勢なる状況が見える。ある程度の密度でRuプリカーサが存在すること、Ruプリカーサ同志の反応で、反応が進むことが予想される。一方で、170℃以下では、Ru―Ru形成反応が起こらず、分子吸着の状態で結合状態も変化しないことから、Ru-Ru形成反応に熱的な励起が必要であることを示唆している。
 以上のように、ALDプロセスの進行に合わせ、XPSを詳細に計測することで、結合状態をモニターしながらプロセス最適化のための温度条件、プリカーサ、リアクタンとガスのドーズなどの検討が可能であることが分かった。このシステムは、新規プリカーサによるALDの開発において強力なツールとなる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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