利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT0440

利用課題名 / Title

試料の高さ合わせのばらつきによるXPS定量分析の精度の低下

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

組成定量分析,相対感度係数(RSF),タングステンナノドット(NMIJ CRM5207-a),Auto-Z


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

黒河 明

所属名 / Affiliation

産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-074:エックス線光電子分光分析装置(XPS)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 エックス線光電子分光法(XPS)で試料表面の組成を定量分析するとき、解析に用いる相対感度係数(RSF)の精確さは、分析結果に影響する。高精度のRSFを得るために、試料成分の各元素の純物質試料を用意してXPS信号強度を測定してRSFを求める方法がある。この方法は,試料面の高さは試料間で同じにする必要がある。高さ合わせの自動調整機構を備えたXPS装置で、試料面の高さ合わせのばらつきとそれによる信号強度の精度への影響を調べた。

実験 / Experimental

 用いた試料はタングステンナノドット(NMIJ CRM5207-a)である[1]。これは、シリコン基板にタングステンのナノ円筒(ドット直径60 nm,ドット間隔119 nm)が、格子状に、1.5 mm四方の範囲にわたり埋め込まれている。試験対象のXPS分析装置はNPF共用施設の装置 【NPF074】である。

結果と考察 / Results and Discussion

 装置のAuto-Zの機能を用いて、試料の分析高さ位置(Z軸)とXPS信号強度の関係を測定した。図1は10回繰返し測定した結果の一例である。データ点を非対称ガウシアンで曲線近似し(実線)、信号強度が最大値から1%減衰するときの試料面の高さのずれを求めたところ、その範囲は80 µm(右側+28 µm、左側-57 µm)であった。また、試料高さの最適値のばらつきは、標準偏差で25 µmであった。
 この結果は、2成分試料の分析で純物質の2試料を測定して強度比から相対感度比を算出するとき、二つの純物質間で信号強度比を1%精度で測定するには、二つの試料面間で高さのずれを80 µm以内に収める必要性を意味する。Auto-Zで取得される一連のスペクトルの測定時間を適切に設定すれば高さ調整の精度の向上が期待できる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. 試料の自動高さ調整機構による、試料高さとXPS信号強度の関係の一例.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献
[1]標準物質認証書,(産総研 計量標準総合センター), https://unit.aist.go.jp/qualmanmet/refmate/crm/cert/5207a_J.pdf(2023.3.6確認)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 黒河明、張ルウルウ, "XPSスペクトルの測定精度と試料の高さ合わせ", 第59回表面分析研究会での発表(オンライン), 2023年3月3日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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