【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.30】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22AT0330
利用課題名 / Title
Si陽極酸化用ハードマスク作成プロセスの検討
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
陽極酸化処理, ハードマスク
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
小島 明
所属名 / Affiliation
株式会社カンタム14
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
AT-095:RF-DCスパッタ成膜装置(芝浦)
AT-089:赤外線ランプ加熱炉(RTA)
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Si waferのウェットエッチングの1つの方法である陽極酸化処理に用いるハードマスクの作成プロセスの検討を行なった。陽極酸化処理にはHF溶液が使用される。マスクとして一般的にはSiN膜が用いられるが、本グループでは膜の欠陥をアニールするための熱処理時にSiとSiNの熱膨張係数の違いからクラック等が発生していた。今回は、SiN膜の残留応力を減らすことを目的としてSiO2膜をSiとSiNの間に成膜し、陽極酸化処理までを行なった。SiO2が構造的な柔軟性を有するためである。SiO2膜の導入には、陽極酸化処理後のハードマスクの剥離がより容易になる効果もある。
実験 / Experimental
【利用した装置】
・【NPF095】RF-DCスパッタ成膜装置(芝浦)
・【NPF089】赤外線ランプ加熱炉(RTA)
【実験方法】
P型Si (100) wafer (抵抗率:20
Ωcm)をRCA洗浄後、サイドスパッタリングが可能なNPF095により、SiO2
を厚み100 nm、SiNを厚み700 nmを予定して連続的にスパッタ成膜した。続いて、NPF089により窒素ガス中800℃
3 min の急速熱アニールを行なった。数時間大気中室温に置いた後に、SiN膜上にフォトレジストを塗布、500 μm角の方形パターンが1 mm間隔で並ぶテスト用アレイパターンを作成した。
方形パターン内のSi層を陽極酸化するために、パターン内のハードマスクSiN層およびSiO2層は陽極酸化通電前に除去する。まず、CF4 によるドライエッチングで方形パターン内のSiNを取り除いた。パターンエッジ部分の断面SEM写真をFig. 1に示す。概ね予定の膜厚になっている(SiO2: t130 nm, SiN: t650 nm)ことを確認した。この時点では、パターン部分のSiO2層は残っている。SiO2層は、次に示される陽極酸化溶液に、通電前1 min間程度浸漬することで除去される。陽極酸化処理は、HF と有機溶媒から成る陽極酸化溶液中で、Si wafer を陽極、Pt mesh を陰極とし、定電流: 10 mA/cm2 を15 min流すことで行われる。
結果と考察 / Results and Discussion
陽極酸化処理後の方形パターンのSEM写真をFig. 2に示す。マスク剥がれは生じておらず、今回の陽極酸化処理には耐えうるマスクとなった。Fig. 3はエッジ部分を拡大したものである。Si/SiO2界面でアンダーエッチングが進行している。これは主に陽極酸化がSiのバックボンド数の影響で、<100>、<010>、<001>の方向にポーラス孔が成長しやすいためで、SiO2のHFによる溶解の寄与は比較的小さい。陽極酸化処理においては、隣接する孔が基板抵抗率と陽極酸化時の電圧で決まる空乏領域の外側に成長するため、アンダーエッチングによって生じるマスクエッジ部分は、完全な“庇”の形状にはならず、ほぼ等間隔にSiの“支持体”が残り、この上部のマスクも保持された。これはマスク剥がれが生じない1要因となった(Fig. 4:方形パターンのコーナー部分)。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1: SiN層のみエッチング後の断面。
Fig. 2: 陽極酸化処理後のマスクエッジ部分。
Fig. 3: マスク下のアンダーエッチング。
Fig. 4: アンダーエッチングが進行した箇所。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・今後の課題
今回の実験における陽極酸化処理条件は1つのみであり、今後、多様な処理条件におけるマスク作成とデバイス構造の設計指針を確立する必要がある。これは、微細シリコン構造の集積化に寄与すると考える。
・参考文献
Jin Zheng Wallner, 2006. Porous silicon
technology for integrated microsystems. PhD Thesis, Michigan Technological
University, Michigan, USA.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件