利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT0309

利用課題名 / Title

X線光電子分光によるCoFeB/FeドープMgO構造の化学状態評価

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

MRAM,VCMA効率,磁気トンネル接合,CoFeB/MgO/CoFeB,MgO (MgFeO),化学状態


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

一ノ瀬 智浩

所属名 / Affiliation

産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-074:エックス線光電子分光分析装置(XPS)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 電圧制御型MRAM[1]の社会実装に向けて, 大きいVCMA効率[2]を示す磁気トンネル接合の開発が急務である. 現在用いられている標準的な磁気トンネル接合はCoFeB/MgO/CoFeBで構成されるが, MgO障壁層への不純物ドープにより高いトンネル磁気抵抗比を維持しつつVCMA効率を改善できる可能性がある. 特にFeドープしたMgO (MgFeO) を障壁層に用いた素子において, 比較的高いトンネル磁気抵抗比と垂直磁気異方性が得られている[3]. 従ってMgFeOは高VCMA効率実現に向けた材料として有望である. 本研究ではMgO内にドープしたFeの状態を明らかにするため, X線光電子分光 (XPS) を用いてその化学状態を調べた. 

実験 / Experimental

 スパッタ法を用いてSi/SiO2/Ta (5)/Ru (5)/Ta (5)/Ru (5)/Ta (5)/CoFeB (3)/X (10)/Ru(3) 構造 (X = MgO or Mg40Fe10O50, ()内の数字はnm単位の膜厚)を作製し, その化学状態を 【NPF074】エックス線光電子分光分析装置(XPS) および【NPF075】解析用PC(XPS用)の解析ソフトを用いて分析した. XPS測定はMg1s, Co2p, Fe2p, O1s, Ru3d, Ta4d, B1s, Co3pに対して行った. 各XPS測定とイオンガンによるエッチングを20回繰り返すことで深さ分解プロファイルを取得した. 

結果と考察 / Results and Discussion

 図1はCoFeB/X構造においてX (MgO or MgFeO) までエッチングした後に測定したXPS Fe2pスペクトルである. X = MgOの場合には下部CoFeBのFeに起因した金属Feの弱いスペクトルが観測された. 一方, X = MgFeOの場合ではFe2pスペクトルが高エネルギー側にシフトしており, FeがOと結合していることが示唆された. さらに, このFe2pスペクトルをFeO, Fe2O3のスペクトル[4]と比較した結果, FeOのスペクトルに一致した. すなわち, MgFeO内部のFeはFe2+として存在することが分かった. 本実験で作製したMgFeO薄膜は, NaCl構造をとるMgOに対して一部のMgをFeが置換した構造になっていると考えられる. 

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. CoFeB/X構造 (X = MgO or MgFeO) のX層で測定したXPS Fe2pスペクトル.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] Magnetic Random-Access Memoryの略.
[2] Voltage-Controlled Magnetic Anisotropyの略.
[3] K. Yakushiji et al., AIP Adv. 8, 055905 (2018).
[4] M. Fondell et al., J. Electron Spectroscopy Related Phenomena 224, 23 (2018). 


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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