【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.29】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22AT0282
利用課題名 / Title
真空蒸着で作成したアルミニウムの表面粗さの評価
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
時間分解サーモリレクタンス法(TDTR),トランスデューサー膜,表面粗さ,EB蒸着法, モフォロジー, Pz値
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
新田 詠子
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
八木 貴志
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
AT-109:6インチ電子ビーム真空蒸着装置(アールデック)
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
厚さ100 nm以下のAl薄膜は、薄膜の熱物性計測を行う時間分解サーモリレクタンス法(TDTR)において、対象の薄膜を加熱し温度変化を測定するためのトランスデューサー膜として広く用いられている。一方、スパッタリング法によって成膜した膜厚70 nm程度のAl膜の表面粗さは最大高さPz値として約25 nmあり、熱物性計測上で無視できない不確かさ要因であった。そこで、今回EB蒸着法によるAl薄膜の表面粗さと、成膜レートとの関係を調査し、EB蒸着法によるAlトランスデューサー膜の作製手法の評価を行った。この結果、成膜レートを上げるほど、表面粗さが低下することが明らかとなり、スパッタリング法に比べて大幅に表面平滑性が向上することが確認できた。
実験 / Experimental
目標膜厚70 nmのAl膜をEB蒸着装置【NPF109】により成膜レート0.5 Å/sから2.0 Å/sにより作製した。基板にはSiO2ガラス(15 mm×20 mm×1 mm)を用いた。真空度は10-5 Pa台とし、基板は無加熱とした。成膜後のAl膜表面のモフォロジーは原子間力顕微鏡により1.0 μm×1.0 μmの領域を計測し、最大高さPz値により比較を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
成膜レート0.5 Å/sの制御は、図1に示すように成膜中に安定せず1 Å/sから徐々に低下をしていく挙動を示した。低い成膜レートではプレ蒸着の時間を長くとる必要があると思われる。一方1.0 Å/sおよび2.0 Å/sのレートでは安定した成膜ができた。真空度は1.3~1.8×10-5 Paであった。
図2に、成膜レート1.0 Å/sおよび2.0 Å/sで作製したAl膜のAFMの計測結果を示す。レートが1.0 Å/sから2.0 Å/sに増えるにしたがって、Pz値は18.7 nmから9.3 nmに低下し、表面粗さは成膜レートに対して強く依存することが分かった。本結果は、スパッタリング法におけるPz値に比べて大幅に小さいものであり、Alトランスデューサー膜の作製方法としてEB蒸着法が候補であることが確認できた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 成膜レート0.5 Å/sの成膜状況のモニタ画面
図2 成膜レート1.0 Å/sおよび2.0 Å/sで作製した Al膜のAFMの計測結果
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
より大きな成膜レートによりAl膜を作製し、表面粗さの向上を検討する。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件